あやかしきつねの恩返し
仲仁へび(旧:離久)
01 きつねを拾った
私の名前はとよ。
風緑宿の看板娘だ。
営んでいる宿のまえに出ると、傷ついたきつねが倒れていた。
人が近づいても動けないほど弱り切っていたのを見て、さてどうしようかと考える。
宿では動物嫌いの客も泊まる。
さまざまな人が利用するので、動物を飼うのはあまり好ましくない。
けれど、このまま宿の前で弱らせておくと評判が悪くなる。
なにより夜ゆっくり眠れない。
自分から夢見を悪くしたいとは思えなかったし、仕方ないので、そのきつねを抱き上げて宿の中へ入れてやる事にした。
本当なら、きつめのためにも、人間のためにも、医者の所に担ぎ込むべきだった。
しかし、あいにくとがめつい医者につかまったら、払うお金の余裕がない。
出来る事しかできないが、最低限体をふいて、タオルでくるんでやれば良いだろう。
相手は、自然の中で生きてきた野生の動物。
ぬくぬくとした環境でなければ回復できないというなら、この先生きてはいけまい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます