5-3
四人がモニターで目撃した魔法使いと思われた人物、それは――。
「あの人物は、どちらかと言うと魔法少女よ」
確かに意匠的には、そちらを連想させる要素は存在するのは事実だろう。しかし、テレビで見るような魔法少女とはイメージが異なる。
「あれが!? 魔女とは言えないが、少女と言うには衣装デザインが違いすぎる」
「確かに。深夜アニメ等になっている様な魔法少女とは衣装の路線が違う。でも、それが意図的なものであれば――」
瀬川は衣装の違いを踏まえて反論するが、それをあっさりと一蹴したのが舞風の一言だ。
キッズ系作品のアンチテーゼと言うような手法を取り入れ、更に魔法少女の要素を含めたとしたら――。
『なるほど。確かに、一理あるだろう』
唐突に喋り出したのはレッドカイザーだった。彼も彼女の姿を見ていたが、該当する人物に遭遇した事はない。
ハヤト・ナグモも同じで、見覚えがないという事だった。結局、彼女と会った可能性があるのはここには誰もいない事になる。
「キッズ向け作品のアンチテーゼとして――彼女が生まれたのかもしれない」
「それって、普通に深夜アニメなのでは?」
「そう言う意味ではないわ。むしろ、あの人物が現れた理由は――別にあるのかも」
「別? コラボ枠とかではなくて」
舞風は彼女が現れた事には別の意味があると考え、その一方でマルスは――。
どう考えてもマルスの方が何かを言おうとしてごまかしている可能性があるが、本当にそうだとは限らない。
「何となくだが、舞風の言いたい事は分かった。彼女が鍵の持ち主だと――」
瀬川も現状の空気で何を言おうとしているのかを悟る。しかし、彼女が何番目の鍵なのかは不明なままだ。
七つの鍵と明言されている以上は、七人以上は出ないだろう。この手のパターンでは、隠しキャラがいてもおかしくはない。
(彼女が四番目なのか五番目なのかは分からない。そう言う事か)
瀬川は、あの時にフードコートで話していた事を思い出す。現状では三人、SNS上では新規で一名が確認されていると言う。
その中の候補を絞っていた際に、彼女の話題も出てきたのである。
「あいね・シルフィード、ある意味でもSNS上で話題になった魔法少女よ」
舞風は、彼女がSNS上で話題となった人物、あいね・シルフィードだと認識する。外見からして、それが読みとれたからだ。
しかし、彼女はどちらかと言うと主人公ではない。作品中でも準ヒロインポジションだったのである。
それでも彼女が話題になったのには、ひとつの理由があった。
あいね・シルフィード、元々が魔法少女のデスゲーム物というジャンルだった作品を根底から変えた人物。
とあるモブの魔法少女が退場した際、これに対する批判的な意見でSNSが炎上した。こうした炎上により、路線を変えた作品も数多い。
その中でも、あいねは一定の伏線は維持しつつも路線をデスゲームから一転してバトルゲーム物に切り替えたのだ。
この路線変更は、炎上させたきっかけの人物でさえも後悔する程の大幅路線変更だったのである。
まるで、日曜朝のキッズ系アニメ路線をWEB小説でやるような物だったからだ。後に出版社が一連のSNS上の流れも見た上で出版化もしている。
あいねのキャラクターに関しては、友人を守る為ならば自己犠牲もいとなわないと言う性格で、過去に日曜朝で放送されていた特撮作品の主人公を思わせた。
それから六代系女子とも言われているのだが、これに関して作者は『元作品は見ていないが、そう受け取られるような気配はする』とコメントしている。
あいねの戦闘スタイルは射撃系武器だったが、後に他の魔法少女も救いたいという一念で格闘系のガントレットへ変化。
更に言えば、剣や銃を使う魔法少女も登場し、彼女の鉱物はチャーハンという事でいくつかの項目も信じられないように適合した。
唯一の違いがあるとすれば、同姓の親友はいるが急接近したりはしない所か。
実際、彼女の性格自体が明るい一方で、行動的な部分で自己犠牲と正義感で出来たような物とSNS上で言及され、そこからネット上で彼女が真の主役と推測する読者が増えた。
それに加えて、六代系女子というパワーワードの存在もあって、ああいう流れになったのかもしれない。
あいねのコスチュームは、どちらかと言うとあまり肌を露出しないタイプ。
実際にコスチュームのデザインも作者が日曜朝のアニメを意識したともインタビューで答えており、そう言う流れで出来たのだろう。
もしも、露出が派手なセクシーコスチュームだったら、あいねがここまでSNS上で言及される事もなく、本来の主役が目立ったのかもしれない。
ちなみに身長は、他の三人がハヤトの方を見ていたのを踏まえると――そう言う事だろうか。設定では一六七センチと書かれている。
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