第217話 防御のいろは
「ほっほっほ。それでは皆さん防御の手本をお見せします」
そう言うとリガスは盾を地面に突き刺した。
前を見るとモンスターが俺達に向かって来るのが見える。そして、モンスターの一体がリガスに突進する様に攻撃をした。
「カネル!!」
突き刺した盾が淡い光を放ちモンスターの突進を受け止める。
「チル様!」
「任せて。アームズ……」
続いて、チルがリガスが盾で引き止めている小型に対して攻撃を行う。
「あっち行って」
「アタック!」
俺のスキル効果が乗った渾身の一撃を小型に叩き込む。チルの攻撃を喰らった小型はその威力で一瞬動きが止まるが、直ぐに次の攻撃に移った。
「姉さん!」
「1……2……3……4……5……フィンフショット!」
バチバチと電気が放電している音がロピの撃った石から聞こえる。
「アタック!」
俺は更に石が飛んでいく斜線上に赤ライン敷くと更に大きな音を立てながら小型にヒットした。
「流石、アトスさん達ですね。何度見ても驚きます……」
俺達の一連の攻撃で小型は動かなくなった。
「ほっほっほ。こんな感じでどんどんモンスター達の死骸を量産していきましょう」
流石にリガスみたいに一人でモンスターの攻撃を受け切る事は出来ないが、複数人で受け止めて、何人かで攻撃する様マーズから指示が飛ぶ。
「また、来るぞ!?」
「ほっほっほ。それでは皆さん一度やってみましょうか。三人一組で攻撃を受け止めましょう」
「そ、そんな事言っても三人で小型の攻撃を受け切れるか……?」
「ほっほっほ。アトス殿が居るので大丈夫ですよ」
そして、先程と別の小型が突進して来るのが見える。
「よっしゃー、俺はアトスを信じるぜ!」
「俺もだ。絶対に諦めねぇ」
「アトスが言うなら間違えねぇな!」
俺が助けた三人が率先して盾を構えてモンスターを受け待つ体制を取った。
「相当、信頼されていますね」
「あぁ、嬉しいものだ」
「お兄さんなら当然だよ!」
そして、小型が三人に接触する前に、俺は青いラインを敷く。
「ガード!!」
盾を構えている三人に俺のスキルが反映された為、青い光が浮かび上がる。
「「「クッ!!」」」
大の男が三人と俺のスキルの効果により、小型の攻撃を受け切れた様だ。
「す、すげぇ……全然痛くねぇーぞ!?」
「俺達だけで、小型の攻撃を?」
「これが、アトスのスキルかよ……」
まさか、三人だけで小型の攻撃を受け止められるとは思わなかった様で、相当驚いている様だ。
「フィールさん、トインさん!!」
「おう!」
「オイラ達に任せな!」
マーズの指示により、フィール達が小型に攻撃を仕掛ける。
「喰らえや!!」
フィールが大剣を振り被り小型に攻撃をする。
「ふふ、オイラを毎晩ビビらせやがって!」
フィールの攻撃した後にトインは毒を塗り付ける。
すると、小型が一瞬ビクッと震えたかと思うと、その場で倒れ込んだ。
「皆さん、お見事です!」
あっという間に小型を二体討伐した俺達三班を他の者達が驚いた表情をして見ていた。
「す、すげぇーな……」
ドワーフのキルも俺達の戦闘を見て驚いている様だ。
「ワシらも負けてられねぇーぞ!」
「「「「おう!」」」」
ドワーフ達は大きなハンマーを構えて、モンスターを待ち構える。
「向こうも、やっと動き始めたな」
「えぇ。ですがこの数のモンスター相手では……」
あっという間に二体を倒したが、まだたったの二体であり、前を向くと数えるのも嫌になる程モンスター達が居る。
そして、他の小型達も動き出しリンクス達の方にも襲い掛かっているのが見えた。
とにかく、今は目の前の事に集中だな。
それからは、小型が来る度に三人で受け止めて、二人で倒すを繰り返す。
主に攻撃担当としては、ロピとチルの一組とフィールとトインの一組、合計二組で小型達を討伐している。他の者達は全員防御に専念。
これが、マーズが考えた防御の陣になる。
「マーズ、なんだかんだ効果的だな」
「えぇ。ここまで上手くいって良かったです……」
自身が立てた戦い方ではあったが、やはり初めての事だったので自信が無かったらしい。
「それにしても、この戦い方が実行出来たのはアトスさんが居たからこそです」
どうやら、俺のスキルサポートが無ければ、本来受け止める事は出来たとしても、突進の反動などで結局は怪我をしてしまうらしい。
「アトスさんのスキルが強力の為、何回小型が来てもダメージ無く受け切れますね」
周りを見ると、リンクス達は小型の攻撃を受け止めてはいるものの、直ぐに他の者と交代して、基本は交互に防御して休む時間を作っている様だ。
「3……4……5……フィンフショット!」
何度目か分からない、ロピの攻撃が小型に当たる。
「あーん、お兄さん、小型が全然減らないよー」
「いいから、姉さんは攻撃して!」
「なんか、妹も怖いしー」
やはり、モンスターの数が多過ぎる為か体力的な意味で徐々に追い詰められている事を感じる……
「マーズ、何か策は思いついたか!?」
「いえ……、やはりこの状況を変えるには変異体がコチラに来るしか……」
すると、いきなりとてつもない気配が辺り一面を覆った。
「──ッなんだ!?」
「……どうやらモンスターが成長したらしいです」
この感覚は、以前と同じでモンスターが人間を捕食して成長した時の気配であった……
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