第714話 カレーうどん
☆亜美視点☆
東日本インカレが閉幕した翌日です。 私達は千葉には戻らずに、今日1日東京で遊び東京で宿泊してから、明日帰ることにしました。
そして東京で遊ぶという事で、今日はあの2人も誘う事にしたよ。
私達は一度集合してから、2人との待ち合わせ場所へと向かう事に。
「紗希ちゃんもいたらなぁ」
「今頃京都でも散歩してるんじゃない?」
「昨日電話で皆と遊ぶって言ったら羨ましがってたねぇ」
「ですわね」
京都へ行ってしまった紗希ちゃんと遊べるのは大型の連休に帰ってきた時ぐらいである。 夏が待ち遠しいね。
「てか、弥生と宮下さんは練習とか良いのかしらね?」
「土日とかは練習に時間割きそうなもんなのになぁ」
昨日連絡してみたら2人共二つ返事でOKと言ってきた。 多分今日は練習がお休みか何かなんだろう。
東京に来たら2人と一緒に遊びたいと思っていたので良かったよ。
「麻美と渚も遊びたがってたけど、さすがに今から東京に来るのもね」
「あはは、ちょっと待ってられないよねぇ」
あの下級生2人も遊ぶの好きだからねぇ。 麻美ちゃんは何故か宮下さんと意気投合するし渚ちゃんは姉の弥生ちゃんの事大好きだし。
しかし残念ながら今から東京には来れないという事で、今日は2人は抜きである。
さて、待ち合わせ場所は東京駅へとやって来ました。
きょろきょろと周りを見回すと、いましたいました弥生ちゃんと宮下さん。
「お、来よった来よった」
「おー、合宿以来ー」
「やほー」
2人と合流して、少しその場で談笑する。
「大会あったんやろ? どないやったんや?」
と、早速今大会の結果を聞いてくる弥生ちゃん。
それに対して偉そうな態度で返事するのは奈々ちゃん。
「ふふん。 この私のいる七星大学が、亜美と奈央のいる白山大学をコテンパンに倒して優勝したわよ」
「コ、コテンパンて……フルセットだったじゃん」
「な、何やて! 藍沢さんが亜美ちゃんに勝ったやて?!」
「そうよ? 羨ましいでしょ? 亜美の首は私が取ったわよ! おほほほ」
「ぐ、ぐぬぬ」
「何だか腹が立ってきたよ」
接戦だったのにこれじゃまるで本当にコテンパンにされたみたいである。
弥生ちゃんなんて「ウチ以外に負けよってからに」と何故か怒られる始末である。
「でもさー、やっぱ月ノ木さんのメンバーは全員揃ってこそよねー? バラバラになってもチームを上位に押し上げる個人の能力はすんごいけどさー」
とは宮下さん。
「そうですわね。 それはこの大会中に実感しましたわ」
「そうだなぁ。 やっぱ月ノ木の皆と一緒だと安心してプレーできるしな」
「信頼やね。 それがあんさんらの強さの源や」
「うんうん、そだねぇ」
皆もそう思ってたんだねぇ。 私もなんだかんだ月ノ木の皆とプレーしてる方が伸び伸びと出来るし好きである。
「さて、じゃあ行きますか。 皆お昼まだじゃない?」
「そうね」
「ふふふー。 おすすめのお店があるのよ」
と、宮下さん。
それで私はピンッと来たよ。 この辺はあのお店の近くである。
私も以前東京へ来た時に宮下さん、新田さんに連れて行ってもらった事があるあそこだろう。
「そこで千沙っちも待ってるから急ぎましょ」
新田さんも待っているという事はもう間違いない。
◆◇◆◇◆◇
そう、うどんのお店「白華屋」である。
「あ、新田さんだよぅ」
「こんにちは皆さん」
お店の前では新田さんがスマホをいじりながら待っていた。
この2人、本当にここが好きなようである。
「やっぱこの店やな」
と、そう言い出したのは京都人の弥生ちゃん。 多分だけど東京に来てから宮下さんに連れて来られたんだろうねぇ。
「美味しいのこのお店?」
奈々ちゃんがそう訊くと、宮下さん達は口を揃えて行った。
「激うま! カレーうどんは絶品の一言!」
「そ、そう?」
「私も以前宮下さん達に連れてきてもらったけど、本当に美味しかったよ」
「そりゃ楽しみだ。 さっさと入ろうぜ」
遥ちゃんが急かして入店していく。 私達も苦笑いしながらその遥ちゃんの後に続く。
団体席に案内してもらい、注文を取ってもらうよ。
「じゃあ私は天ぷらうど……」
「藍沢さん、そらあかんで」
「え、何で? 私は天ぷらうどんが食べたいんだけど……」
「ここに来たらカレーうどん食べないともったいないよ藍沢さん」
「そうです」
天ぷらうどんを注文しようとする奈々ちゃんに対して、弥生ちゃん、宮下さん、新田さんが待ったをかける。
奈々ちゃんは「えぇ……」と、顔を引きつらせながらも仕方なしといった感じでカレーうどんを注文。
そのやり取りを見ていた皆も思うところはあるだろうけど、そこまで言うならということでカレーうどんを注文していた。
「たしかにメニューにも当店オススメってかいてあるけども……そんな言うほどなの?」
「言うほどや! 食うたらド肝抜かすでほんまに」
「ド肝って……ホントなの亜美?」
「うん。 美味しいのは本当だよ」
「まぁ亜美がそう言うなら……」
と、奈々ちゃんも渋々納得するのでした。
少しすると、テーブルに大量のカレーうどんと、飛び汁で汚れないためのエプロンがやって来た。
「エプロンまで付くのねぇ」
なんて奈央ちゃんが呟く傍らで、宮下さん、新田さん、そして弥生ちゃんまでもが自前のエプロンを取り出して装着。
や、弥生ちゃんまで白華マイスターになっちゃってる!?
「な、何それ? マイエプロン?」
「そやで? 白華マイスターたるもん、常にバッグに入れておくもんや」
「そゆことー」
「は、白華マイスターって何よ……」
「そんぐらい夢中になるほどここのカレーうどんは絶品って事や。 しのごの言わずにとりあえず食ってみ」
と、弥生ちゃんに促された皆は、エプロンを装着して恐る恐るカレーうどんを食べ始めた。
「ずるずる……んぐ……ん! んまい!」
「本当、美味しい……てか、凄くスパイシーなカレースープね」
皆口々に「美味しい」と評価した。
「ここの店長さん、元は本格的なカレーのお店やってたみたいなのよ。 だから、カレーには拘りがあるわけ。 オリジナルブレンドのカレーをスープにしたカレーうどんだから、そこらのカレーうどんとはわけが違うのよ」
「ほえぇ。 めっちゃうめぇ!」
宮下さんの説明を聞きながらもずるずるとうどんを啜る皆。 私も久しぶりに口にする白華屋のカレーうどんを堪能するのでした。
◆◇◆◇◆◇
絶品カレーうどんを食べ終えた私達は、お店の外へ出て少し休憩。
「いやー、美味いもん食ったなぁ。 もう他のカレーうどん食えねぇな」
「本当、天ぷらうどんにしなくてよかったって思うわ」
「せやろ? ウチも最初ここに連れてきてもらった時は半信半疑やってんやけど、一口食ったらもう忘れられんでな。 定期的に来てはカレーうどん食ってんねん。
「いや、わかりますわ。 あれはそれだけの価値のあるカレーうどんでしたもの」
奈央ちゃんも認める白華屋のカレーうどん。 私もまた食べに期待と思うけど、わざわざ東京まで出てこないと食べられないというのが残念でならない。
「さて、東京散歩行きましょうか」
宮下さんがそう声を上げて、東京散歩が始まるのでした。
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