第483話 体育館でサバゲー?
☆亜美視点☆
月ノ木祭が始まってすぐに弥生ちゃん達に連絡を入れる。 一旦中庭へと向かい2人を拾うことに。
奈央ちゃんは春くんと、紗希ちゃんは柏原君と、遥ちゃんは彼氏さんとそれぞれ回るつもりらしい。
寂しいは寂しいけど、皆が固まって行動すると多くなりすぎるしそれは仕方ないか。
私達は私、夕ちゃん、希望ちゃん、奈々ちゃん、宏ちゃん、弥生ちゃん、宮下さんで基本的に回る予定である。
渚ちゃん、麻美ちゃんは午前中は自分のクラスで店番という事で一緒には回れないとのこと。
しかし、3-Aの男子のライブは他の子に店番を頼んででも見に来ると言っていた。
夕ちゃんが踊るんだもん、見なきゃ損だよね。
「おー来た来た、こっちやこっちー」
弥生ちゃんと宮下さんがわかりやすい場所に立って待ってくれていた。 これで全員集合という事で、早速月ノ木祭を回ることに。
「夕ちゃんと宏ちゃんは体育館入り何時から?」
「10時30分には入って準備だな」
「だな」
「じゃあ、それまでに回れるとこ回っちゃいましょ」
「ほな最初は渚と藍沢妹のクラスやろ。 何や第3体育館を使ってサバイバルゲーム屋をやっとるらしいで」
「そうなんだよねぇ。 よく許可出たよねぇ……」
多分発案者は麻美ちゃんだろうなと、簡単に予想が出来る。
サバイバルゲーム、通称サバゲーについては私は詳しくは知らない。 麻美ちゃんから説明受けないとね。
「んじゃ、第3体育館に向かいますか」
「だな」
まずは進路を第3体育館へと取る事にした。
◆◇◆◇◆◇
「おー、いらっしゃーい!」
「来たでぇ」
「サバゲーやりに来たよ」
受付では麻美ちゃんがルール説明などをしてくれるようだ。
「じゃあ説明するよー。 えーと、皆は7人だねー」
「はぅ……」
希望ちゃんも当然参加だ。
「希望姉は弱そうだし3人チームで良いかな?」
「うん……」
「3:2:2でチーム分けするよー。 経験者はー?」
「ほーい」
元気よく手を上げたのは宮下さん。 け、経験者なんていないと思ってたけどこんなところに……。
麻美ちゃんはそれだけ聞いて「ふ-む」と腕を組み10秒程考えて。
「宮下先輩、希望姉、月島先輩で青チーム、亜美姉、宏太兄ぃで赤チーム、お姉ちゃんと夕也兄ぃで緑チームね」
んー、残念ながら夕ちゃんとは別チームになってしまったようである。 敵になった以上は容赦しないよ。
「んじゃルール説明するね。 ゲーム時間は10分。 時間内に自チーム以外のを全滅させれば文句なしで勝利。 時間が来ても勝負がついていない時はチームの生存人数が多いチームが勝ち。 人数も同じ時はヒット取った数が多い方が勝ちねー」
ふむふむ。
「皆には白いレインコートを着てもらうねー。 で、弾は各チームの色に対応したカラー弾。 当たったら破裂してインクが服に付くようになってるよ」
それでヒットしたかどうかの判定をするらしい。
「今、中で他の人達がやってるから、その人達が終わったら入ってね」
麻美ちゃんからのルール説明は終了。 ちなみに武器は電動フルオートのものらしい、 んーよくわからないけど凄そうだ。
5分ほどで先に入っていた人達が出てきて、私達の順番が回ってきた。
「じゃあ、レインコート着て、これ持って中に入ってー」
「よーし! 宏ちゃん頑張ろうね」
「おう!」
レインコートを着込んでフードとゴーグルをつけて目も保護。 電動ガンも手に持って体育館の中に入る。
チームごとに離れた遮蔽物の後ろに待機し、開始の合図を待つ。
「宏ちゃん作戦は?」
「知らん。 初体験だし適当に」
「らじゃだよ」
私もよくわからないけど、上手く遮蔽物を利用しながら弾を避けて、相手に弾を当てればいいんだよね。
「じゃースタート!」
マイクで麻美ちゃんがスタートの合図がかかったのでゲームを開始。
私と宏ちゃんはスタート地点の遮蔽物から、少しだけ顔を出して他2チームに動向を探る。 まだどこのチームも動きは見えない……。
パンッ!
と、次の瞬間発砲音がして、宏ちゃんのおでこに青いインクが付いていた。
青チームの弾が宏ちゃんを撃ち抜いたようだ。
私は咄嗟に顔を隠して射線を切る。
「こ、宏ちゃん瞬殺されちゃったよぉ……」
「おいおい……今ちょっと顔出してただけだぞ? 誰だよ今の?」
「青には経験者の宮下さんがいるからねぇ……」
「け、経験者ってこんなやばいのか……? ピンポイントショットだぞ」
「わかんないけど……。 これは下手に動けないねぇ」
、
とはいえ、じっとしてても埒が開かないしどうしたものかなぁ。
「俺はもう戦線離脱だからなぁ……頑張れよ」
「うん。 とりあえず、奈々ちゃんと夕ちゃんのチームを狙ってみるよ」
経験者のいる青チームはとりあえず後回しである。
奈々ちゃんと夕ちゃんのチームはあっちの方だったねぇ。
2人が隠れている遮蔽物の方の様子を窺う。
2人も宮下さんのやばさを理解したのか、動きを見せない。
膠着状態に陥ってしまったねぇ。
スタタタタッ……
と、奈々ちゃんチームの方に注意を向けていると背後から足音が聞こえてきた。
しまった……青チームに意識配分するのを怠ってしまった。
「はぅぅぅっ、亜美ちゃん覚悟ぅ!」
希望ちゃんが大きな声を上げてこちらへ突っ込んできた。
私は驚いて咄嗟に電動ガンを構えてトリガーを引く。
パンッ!
「はぅん……」
弾は希望ちゃんに命中した。
んだけど……。
パンッ!
「あぅん……」
希望ちゃんの急襲で咄嗟に立ち上がってしまった隙を突かれてしまった。
私の左胸には青いインクが付いていた。 また宮下さんのようである。 希望ちゃんを囮にして私を誘い出したという事なんだろう。 何て恐ろしい作戦を立てるんだろうか。
「ぐぬぬー」
良い所なく私達のチームは敗北してしまった。 宮下さん恐るべしだよ。
奈々ちゃんと夕ちゃんは2人で左右を見ながら警戒しているが、それでも宮下さんと弥生ちゃんは遮蔽物から飛び出して移動を開始した。
パンッ! パンッ!
それを見て必死に撃っているけど、当たる気配が無い。
「もらったー!」
「覚悟やでぇ!」
パンッ!
「ぐはぁ」
「ちょっとーガチすぎんでしょー」
あっという間に奈々ちゃんと夕ちゃんもやられてしまい、宮下さんの無双状態で終了してしまった。
「どうよぉー」
「強すぎよ!」
「なははー、宮下先輩やりますなー! 私も対戦してみたいなー」
「おおー、今度是非」
この2人は趣味も似ているようである。 宮下さんも実はゲーマーだったりするんだろうか?
そこまで似てると逆に怖いけど。
「楽しかったよ、店番頑張ってね」
「うんー! 午後からは一緒に回ろー」
麻美ちゃんは笑顔でそう言い、私達は「勿論」と頷く。
そういえば……。
「渚ちゃんは?」
「んー? 裏でレインコート洗ってるよー。 数に限りがあるからねー。 再利用再利用」
なるほど、雑用を引き受けているという事なのね。
私達は第3体育館を後にして次なるお店に向かう事にした。
さて次はどこへ行こうかな?」
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