第28話 帰還
デボネアの街の近くにあるダンジョンでのスタンピードだが、無事終息宣言が出された。
終息に貢献したのは、主に高ランクパーティだったのは間違いない。しかし、複数の中・低ランクのパーティも偵察、調査に討ちもらしたモンスターの討伐など脇役としてだが貢献している。
うちのパーティも後者の方なので、多少は貢献したと自負をしているが、それでも高ランクの冒険者の力ってのはすげえな~と、改めて感じされられた。
とてもあの高みには到達出来ないなって痛感し、俺達は今のまま自分達のペースで頑張って行こうと思う。英雄にはなれないが、それでも困ってる人達の為に俺達の力が必要なら使っていこう。
「宿屋の前払いは今日までだから、明日の朝には出なきゃいけないんだけど、その後は街に戻るって事でいいかな?」
「もっちろん!。久々に宿のおっちゃんの料理が食べたいし~」
「この街も大きくて綺麗だが、やっぱ慣れ親しんだ街が一番落ち着くな」
「新しい街!、楽しみなのです!」
「よし!、じゃあこの街最後の晩餐って事で少し贅沢するか!」
「「「さんせーーーーーーーい!」」」
ギルドからはスタンピードの依頼完了報酬も出たし、一般依頼もこなしていたので財布の方はそれなりに温かかった。
なので、この街最後って事で料理とそれに合う酒も頼んでワイワイ楽しんだ。
夜、俺の部屋に戻ったのだが案の定、エメルダとエレノーラが酔ってしな垂れかかってくる。
「アル~~~、今回も頑張ってえらいえらい~~~♡」
「アル殿~~、私は今回アル殿の力になれただろうか~~・・・グスッ」
既に、エメルダはお姉さんキャラになり、エレノーラは泣き虫っ娘に成り果てている。
これはこれで二人とも可愛いのだが、絡んでくるのは勘弁してほしい・・・
「ありがとな~、エメルダだって頑張ってたじゃないか~。それにリオノーラがいなければ、俺達はここまでやれなかったよ、感謝してるよ」
ふぅ~~、こっちの酔いがさめちゃうよ・・・。でも、全然イヤじゃないんだけどね~フフ。
さて、エリスはというと・・・
「ふぅ~~、少し酔ってしまいましたわ。アルさんは強いんですね~」
うん、普通だな・・・。大体、こういうのって三人目が一番酒癖悪いってのが
まあ、それはそれで助かるんだけどね。
「いや、俺はそんなに強くないよ。他の二人が先に酔っぱらうから酔えないさだけさ」
「そうなんですね~。でも、ここなら私もいますから、もっと飲んでも良いんじゃないかしら?」
「・・・・・・エリスって、酔うと喋り方普通になんのな・・・」
「え?、変わらないわよ?」
「いや、変わってるから!。こっちの方が全然話しやすいから!」
「アルさん、酔ってるわね?フフ・・・。そんな事は良いから、もっと飲みなさいよ~」
とエリスは妖艶な笑みを浮かべ、ワインを俺に注ごうとしている。
おい!、そのワインどっから持ってきた!?。まさか、下からくすねてきたわけじゃないだろうな?
「おい、エリス!。その酒どっから持ってきた!?」
「え~?、これは私が買ってきたものよ~!?。だから心配しないでね。だから心配しないで、もっと飲んで飲んで~♡」
「い、いつの間に買ってきてたんだよ・・・?。ってか、エリスの方が酒強いんじゃないか?」
「あら?、そんな事無いわよ~・・・。ほらほら、もっと飲んで~!」
そう言いながら、さらにワインを注いでくる。
ヤ、ヤバイ・・・俺が先に潰されたら、大変なことになりそうだ・・・そう思っていたら、
「ちょっとーー!!何、二人でイチャついてんのよ~!。あたしもイチャつきたいわ~!、もっとお姉さんに甘えなさいよ~!」
いきなりエメルダが絡んできたーーー!
ってか、どうしてうちの女達はこうも酒癖が悪いんだよ・・・
「アル殿~~アル殿~~~・・・もっと構って欲しいです~・・・スンスン」
リオノーラ、お前もか・・・。
しかし、ギャップ萌えというか普段と違う彼女達の一面が見えて、これはこれで・・・ムフフ。
ヤバイ、俺も酔ってるかな・・・?
すると、急に俺の右腕に柔らかく包まれる様な感触が・・・
見てみると、エメルダが俺の右腕をその豊満な胸に抱きかかえている。
おおーーーーー!や、柔らけ~!。しかも柔らかいだけではなく、程良い反発力・・・た、堪らん!・・・なんて言ってる場合じゃないだろ!!
「えへへ~~、アルの隣は私のもんだも~ん!」
「ず、ずるいぞ!エメルダ!、私もしたい!」
リオノーラはそういうと、俺の左腕を取って抱きしめる。
彼女の美胸は、柔らかさではエメルダに劣るが、しかしこの押せば押し返してくるような弾力性バツグンな感触は何だ!?。
うん、正しく至高と究極の鬩ぎあいだ!。
あざといが、俺としてはゴチソウサマである。
「あらあら二人とも~、アルさんが困ってるじゃないの。離れなさい~」
「イヤよーー!」「私も離れなくない~・・・グズッ」
「離れなさい・・・」
嫌がる二人に、静かに声を荒らげず・・・しかし有無を言わさない声で話しかけるエリス。
いや、怖いんですけど・・・エリス。さすがに二人は、無言の威圧に俺から渋々離れていった・・・ああ、至高と究極の感触が・・・
「ふふ、お二人とも聞き分けが良いですね~。さて、それではそろそろ寝ましょうか?」
「・・・・・・・っておい、エリス・・・そこは俺のベッドなんだが・・・?。ちゃんと自分の部屋に戻って寝るんだよな!?」
「あーーー!、エリスだけずっる~~い!。あたしも入れてよーー!」
「私もアル殿の布団に入りたい・・・いや、入るのだ・・・」
三人は俺の静止も聞かず、俺のベッドに潜り込んでしまった。
ハァ~・・・また今日も寝れないかもしれないな・・・と俺は覚悟を決めた。
◇
「・・・・・・・・・・っぷはぁぁぁぁぁぁぁぁ!はぁはぁ・・・」
翌朝、ベッドで起きた俺はエメルダのアレによって窒息寸前だった・・・
し、死ぬかと思った・・・。というのも、俺の右腕をエリスが、左腕をリオノーラが掴んでおり、そして上には彼女が乗っていたのだが、その豊満な乳が俺の顔のど真ん中にあったからだ。まあ~・・・服の上からだが。
エメルダをどかすにも、両腕はガッチリ二人に固定させていては、動かすに動かせない。これじゃ、胸を触れないじゃないか!
もう少しで俺は絶頂を感じながら、天国の階段を登るところだった・・・、いや~、ホント死ぬかと思ったわ。
俺は昨夜、あれから三人が寝ているベッドに強引に入り込んで寝たのだ。だって、ここは俺の部屋で俺のベッドだからだ!。そこで寝て、何が悪い!?。
俺は他の奴等と違って、こういう時自分だけ床で寝たりはしない!
三人の間にモゾモゾ入って行く際に、彼女達の体に触れるのは不可抗力だ。うん、仕方ない事だね!。しかし、エメルダの胸は柔らかかったな・・・押せば手が沈み込むあの感触。それを含めた、わがままボディ・・・こ、ここは天国か・・・
リオノーラは服がはだけて生足が丸見えだったから、思わずサワサワしてましたよ。ええ、とっても気持ち良かったですわ。
そして、三人の肌の温かさに触れ眠りについたのだが、俺の一部が一晩中寝れなかったのは当然だ。
ちなみに、エリスは魔術師が良く着るようなローブが多かったので、体形まで良く分からなかったのだが、今日は私服だったので均整の取れたプロポーションを露にし、胸も大き過ぎず小さ過ぎずちょうど良いサイズだった。何で見ただけで分かるかって?、そりゃ勿論揉んだからだ!
ちなみに、三人の髪色だがエメルダは金に近い柚子色のショート、リオノーラは白銀色の腰まであるロングで、戦闘時はポニーテールにしてる。そしてエリスはこの世界では珍しい、黒髪で肩までのセミロングだ。
「お、重い~~~~~!、エメルダ!どいてくれ!!」
「重くないわよーーーーーー!・・・って、え?、ア、アルさん?キャーーー!ま、またこんな格好で・・・」
その叫びで、両サイドの二人も目を覚ました。今度は、俺の腕を抱えたまま目が覚めたので、自分が何をしていたか分かっていたのだろう、二人とも飛びのいてペタンと女の子座りをしながら顔を赤らめて下を向いている。
「ア、アル・・・何と言うか・・・すまんな・・・」
「わ、私も・・・ごめんなさいなのです・・・」
「いや、気にしなくていい・・・・・・・・というか一言だけ言わせてくれ、
「「「・・・???」」」
「ア、アルさん・・・昨日あたし達で何したんですかーーーーーー!!!」
早朝、俺の部屋から彼女達の抗議の絶叫が響いたのだった・・・。
エメルダよ、そんな事決まってるじゃないか・・・色々と触らせて貰いましたとも!。でもさ、君達ちゃんと服着てるの分かってるよね・・・?
今、俺達は宿屋を払った後、あるお屋敷に向かって歩いている。
その先とはそう、シェラード家である。
俺達はシェラード家には、大分というかかな~りお世話になった貴族様である。
せめて、シグマに戻る前に挨拶だけでもしなければと思い、朝早くであるが伺ったのだ。
訪れるには早すぎるかと思ったが、彼らは快く対応してくれたのだ。これには驚いた。
そして、自分達が街に戻る事を告げると、せめてジョゼフ様とフィオナの結婚式には出て欲しい、と言われたのだが自分達は平民出身の一介の冒険者であり、さすがにお招きにあずかる訳にはいかないと辞退させて頂いた。
彼等はとても残念がったが、またこちらに来た時には寄らせて貰いますと話し、俺達はシェラード家を後にした。
さあ、やっと俺達の
僅か2週間ぶりだが、もっと経ったように感じるのは俺だけではないだろう。
俺達は住み慣れた自分達の街に戻る為、デボネアの街を後にした。
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