ウィデミッチサーカスをご覧あれ!
@takurada00cat
第1話 ネズミ使いのラッソ
ようこそ、皆さま!
ウィデミッチサーカスの幕をくぐれば、そこは神秘と不思議に満ちた異世界であります。
見たこともない人間、聞いたこともない音楽、猛獣たちのダンスに、ピエロの一挙手一投足。
何もかもが見どころで、余すことなくご覧になっていただきたい。
申し遅れましたが、わたくし、ウィデミッチサーカス案内役を務めております、リデル・ルパと申します。以後お見知り置きを。
本日の目玉は、100を超える小さき者共を手足のように使いこなす、汚い身なりに、小粋なジョーク、憎悪と嘲笑を驚嘆と喝采に変える、下水道が生んだ奇才!
ネズミ使いのラッソ!!
おや、お客様。
ネズミと言っても、ウチで扱うネズミ達はそんじょそこらのネズミとは違いますよ。
ラッセヘルンの下水育ちの上物を、ラッソが情熱と愛情をもって育て上げ、毎日毎日餌をやり、毎日毎日水をやり、毎日毎日交尾させ、今やその数140!
朝昼晩とトラディフ印のクッキーを食べ、ジャグジー付きの風呂に入り、エステでカラダはツルツルピカピカ!
どうです、これだけ手塩にかけられている役者は人間さまでもお目にかかれないでしょう。
仕込まれている芸もその多彩なことたるや!
皿洗いから給仕まで、コックの真似事完璧に。
レジを打つ手は止まらない、帳簿付けさえ詳細に。
小さな手足で振り振られ、野球試合もお茶の子さいさい。
何ができると尋ねるよりも、何ができないと探した方が無駄な時間は過ごさないでしょう。
ラッソとネズミ達の息はジグソーパズルのピースのようにぴったりです!
掛け声ひとつ、仕草ひとつでネズミ達はあらゆることをいともたやすくこなすことでしょう。
目の前で起こるキテレツな珍事を見逃さないよう瞬きは2回までにしておくことです。
入る時と、出る時と。
ああ、近くのワゴンで目薬も販売しておりますので、ぜひ買っていかれることをオススメいたします。
本日が初めての方には是非足を運んでいただきたい!嘘偽りなく一見の価値あり!
ネズミ使いのラッソのテントは北西右方の赤と金で彩られた三角屋根でございます!
皆さま方の心に、満足いく魔法の時間をお届けしますことをお約束いたします。
それでは、心ゆくまでウィデミッチサーカスをご覧あれ!
ウィデミッチサーカスをご覧あれ! @takurada00cat
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ウィデミッチサーカスをご覧あれ!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます