episode.『12月14日(月)』



ここ5年で急激に老け込んだ


見た目ではなく中身の話


20年分くらい余計に歳をとった気分


この生を受けてから


ずっと自分が幸せになる方法を探していた


それは夢を叶えなければ


手に入らないと知った


叶えるために策を弄して


あらゆる手をつくした


もう死んでもいいと思えるほどに


十分生きた気がするよ



      ※



人は変わると言うけれど


ここまで人生の全てを


集約した生き方


経験をしてきたのは


私だけだろう


色々なことに興味を持って


全てを極めんと楽しんで


好きになったものには


とことん一途でいて


大人になるにつれ削がれ


大切なものだけが残った


それさえも失いかけて


もう未亡人のように


心は窶れている



      ※



そうだ、もっと味わえ


手の届かないところで


知っている誰かが


もがき苦しみ


死んでいく様を


私が味わってきた無力感


お前も味わえばわかるだろ


人は痛みを知って初めて


理解し合える生き物だ


私がどれだけ苛まれ


自分を責めて楽になり


死を切望してきたか


寄り添う心を


おざなりにしてきた


その報いだ



      ※



上手くなって


得意になっても


プロになれるわけじゃない


誰かに認められて初めて


世間は耳を傾ける


誰にも認められない


そんな者が


何を極めようと


一銭の価値も生まない


ただの娯楽止まり


だからこそ見限れる


誰を評価し賞賛しようと


見る目のない連中は


私を見つけもしない


ここで生きる価値などない


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