episode.『01月03日(金)/01月04日(土)』



何年経っても忘れられない。


それだけ素敵な恋をしたのだと、そう思う。


未練がましく思い出に縋って。


徐々に薄れていく記憶に怯えている。


いつか全部、思い出せなくなるのではないかと。


そしたらまた、本当にひとりになる。


だからどうか、君を想うことを許してください。


私が愛を知る日まで。



      ※



寂しくて、寂しくて。


心が寒くて仕方がない。


愛されることに飢えていて、気を紛らわすべく布団に潜る。


仮初めの温もりに浸って、どうしようもない妄想を広げ。


孤独に怯えていた今日。


誰でもいいからと、愛なき日々に涙が出そう。


空笑いを繰り返して、切ない気持ちでいっぱいで。


一人ぼっちだ。



      ※



考えすぎなのかもしれない。


迷惑をかけると、遠慮ばかりして。


誰にも話しかけられず、自然と孤独の道を歩んでいる。


他人を傷つけることを恐れ、怒ることができず。


ただそれだけなのに優しいと言われ。


本当は誰かに甘えたくて仕方がないのに。


私はやっぱり拒むんだ。


貴方を巻き込みたくないと。



      ※



貴方の知らないところで、私が危機にさらされていたら。


貴方は駆けつけてくれるのでしょうか。


答えはきっと、否だ。


貴方が私にとって大切な人でも、私は貴方にとって大切な人ではないから。


ただ私の知らないところで、貴方が悲しんでくれていたのだとしたら。


私はそれだけで、満足かもしれない。



      ※



誰かの大切でありたかった。


優しい止まりの私は、これから先も変わりっこない。


こんな卑屈なヤツに誰も好意を向けたりしない。


わかってはいても、変わろうなんて思えない。


どれだけ自分を変えようと、世界は変わらないと。


痛いほど、知っているから。


だからもう、無意味なんです。


私は一人だ。


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