episode.『11月09日(土)』



見ている景色も。


生きている世界も。


感じているものも。


何もかもが違うんだ。


誰も私を知らないから。


誰も私に寄り添わないから。


理解されることも。


認められることも。


私にはないのだ。


そんな現実、好きになれるはずがないだろう。


欲しいモノが手に入らない。


奪われては無に還るんだから。



      ※



好かれたい人がいても、好かれない。


だから、誰に嫌われようとどうでもよくなる。


好印象を与えるのは簡単。


嫌われるのも簡単。


難しいことなんて何もない。


ただ永遠なんてものがない。


不変的な関係がない。


誰も言動の真意に気づかない。


そんな世界に失望するだけ。


私を見るのは私だけだ。



      ※



私は私を好きでいてくれるのであれば、それに応える。


見ず知らずの人には、その場限りの優しさを。


ただの知人には、当たりそわりのない優しさを。


その関係が崩れるのは、いつだって周りが変わるとき。


私が変わるのは、苦痛に耐えかねたとき。


変わらないのは、私だけが寄り添っていた事実だけだ。



      ※



人は誰が死のうと、それが他人であれば誰も悲しまない。


良心があろうとも、涙すら流さない。


関わりのない、見知らぬ人だ。


どこで誰が消えようと他人事。


ただ綺麗事や正論だけを述べて終わる。


何も理解しないで、言いたいことだけ口にして。


知った気になって、歩み寄った気になって。


戯言だ。


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