November

episode.『11月02日(金)/11月04日(日)』



私は幸せになりたかった。


心の穴を埋めてくれる何かが欲しかった。


期待しても裏切られるだけなのに、無駄ではないのだと認めたくなかった。


心に何重もの鍵をかけ、関係を断ち切る修羅となる。


私を理解できる者はいないのだと、孤独の闇にズブズブと沈んでいく。


やはり私は、優しくなんかないよ?



      ※



あなたは私を理解できない。


だってあなたは知らないでしょう?


親を親と思えない恨み憎しみ。友を友と呼べない苦しみ。約束を違えてしまった痛み。


6歳の頃から現実を叩き付けられ、彼此10年以上の歳月を経ても、消えることの無い憎悪の闇。


癒えない寂しさ。孤独の悲しみ。


私は、一人なんだよ――。



      ※



私は、憶測や偏見でものを語る奴が嫌いだ。


その自分勝手な言い分に腹が立つ。


当人にしかわからないことを客観的意見で真実を捻じ曲げる行為。


凄く、印象が悪い。


私なら、自然と黙って眺めている。


両者の言い分がわかるから、よく考えて発言する。


平等的だと思うけど、ただ無関心なだけなんだ――。



      ※



人はさ、ストレスが溜まると頭痛がするんだ。


そりゃそうさ。こんな歪な世界に生まれりゃ。


私の場合は特にそう。


願っても何も叶わない。不幸ばかりが降り注ぐ。


被害妄想?違うな、事実そうなのだから仕方ない。


しかも全部、質が悪い。


こんな現実クソ食らえだ。


私は、産まれる星を間違えたよ――。



      ※



出逢う人が皆優しい。


これを環境に恵まれていると言うのなら間違いだ。


だって皆、良い人止まりで本当の自分を理解してはくれないから。


社会は嫌いだ。


自分を取り繕って笑みを浮かべ、気を使って生きなければならない。


こう考えれば今までと一緒。


けれど私はもう、疲れたよ。


私にはもう無理だ。



      ※



誰かに頼れて救われて、支えがあったなら、私はこんなにも苦しまなかった。


でも頼れないから、助けがないから、支えがないから、今を一人で生きているんだ。


目を閉じて、耳を澄まして。


心の中を覗いてごらん?


そこに一人でも大切な人がいれば、あなたは幸せ者だ。


誰もいない私は、不幸者だ――。



      ※



毛布に包まれクッション抱いて。


そのモフモフとした温もりに抱かれて眠る月夜の晩は、寂しさを忘れさせてくれる。


凄く虚しい。哀れで悲しい。


でも、これでいいんだ。


私は孤独の中で生きている人間。


誰もいなくていい。


この眠りに浸って忘れよう。


全部全部、夢の彼方へ。


私は、可哀想な人だ――。


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