嫉妬

僕の人生の半分は嫉妬でできています。

僕は現在、軽音楽部に所属する高校生です。よく身の回りが音楽活動で活躍していることを耳にするのですが、そのたびにめちゃくちゃ嫉妬してます。

YouTubeにアップしたMVの再生回数がとても多かったとか、事務所からスカウトされたとか、いいライブをしたとか。そんな話を聞くたび「俺だって頑張っているのに」と感じて素直に仲間の成功を喜べません。

軽音楽部の大会ではいくつか賞は取れても、あまり人気は出ず、褒められはしても好かれはしないままでした。

そもそもジャンルがかなりマイナーなものでした。自分のやっていたゴリゴリのブルースロックやうるさいパンクロックは、今の時代だと余程のテクニックがなければ人に響かないのです。そのためのテクニックは、僕に身につかないままでした。

そのため、失恋を歌った綺麗なイケメンバンドがキャーキャー言われてるのを見ると、「奴らが寝る布団が剣山に変わればいいのに」と心の中で中指を立てるばかりでした。


学校生活でも嫉妬を感じます。

勉強が出来ない僕は勉強が出来る人に対してコンプレックスを感じています。賢い人間の前に立つと下手に出て会話をします。「いや、僕なんか」という精神を忘れずにコミュニケーションをとります。

運動も出来ないので、運動が出来る人にも同様に接します。両方出来る人は僕なんか見向きもしません。そういう人の人生に僕なんかいらないでしょうから。

ついでに言えば顔も悪いです。いくらか美形なら、それでも人は寄ってくるでしょうが、メガネの仏頂面の僕に近寄るメリットなんかありません。鏡の前にはいつもモブキャラが立っています。

勉強も運動も出来ない、顔も良くない人間が居場所を作るにはどうするか、それは「お笑い担当」になるしかありません。僕はお笑いが好きで、人を笑わせたいと思う気持ちもなくはなかったので、率先していじられて、道化を演じるのです。そうすることで、存在を知ってもらいました。

ただ、そういう人間は大抵コケにされます。ひどいいじり方は何度もされてきました。小便器で用を足してたら横から消毒液をかけられたことがあります。その場は激しくリアクションを取って愉快に振る舞っていましたが、内心唖然していました。

消毒液をかけられたことに悲しみは感じません。消毒液を無断でかけていい人間だと思われているのが悲しいのです。だから、消毒液をかけられなくてもその場にいることが認められる人間に、僕は心の底から嫉妬していました。


ここまで読んでこう思った方はいらっしゃるのではないでしょうか。

「嫉妬してばっかりじゃん。てかそんなに羨ましいなら自分が努力すればいいじゃん」

ごもっともです。ごめんなさい。

でも努力して積み上げたものを誰にも認められなかったら、何をモチベーションにして努力を継続していけばいいんでしょうか。

努力しないでも結果が実るような人間が、「努力は必ず実る」という言葉を嘲笑っている世の中で、なにを信じて頑張ればいいんでしょうか。

上を見るたび幸せそうな人がいて、そこまで登ろうと階段で走って、転げ落ちて。その横をエスカレーターで登る人間を見たら心はどうなると思いますか。


僕は何もかもが信じられません。自分がする努力で結ばれる結果なんて、あると思ってません。

だからモチベーションが上がらないのです。

だから嫉妬だけをして、努力を怠けてしまうのです。

成功する人間を見て、その人間をボコボコにしてしまおうという気になってしまうのです。

僕はここに告白します。幸せそうな人間を見つけた時、「どうせこいつこれから先はずっと幸せなんだろう。なら俺がちょっと毒づいたくらいどうってことないだろう。なんなら俺は幸福と不幸の帳尻を合わせている」という言い訳をして心の中でめちゃくちゃボロクソ言ってます。

インスタで仲間と写真を撮っているのを見ては「お前らは寄せ集まって生きることしかできない人間だ。集まらなきゃ何者にもなれないなんてレゴブロックと同じだぞ」と心の中でそいつら一人一人に言ってやります。

体育系の行事で張り切る運動部を見ては「お前のテンションが上がるのは勝手だけど他人に押し付けるなよ。自分が活躍してる喜び共有してるつもりなんだろうけど独りよがりだぞ。人巻き込んだオナニーはレイプだ」といって心の中でそいつに唾吐いてます。


これまでも、そしてこれからもきっと嫉妬は続くと思います。

この作品も愚痴で溢れると思います。

地獄の釜の底の底をまだ見たいという方は、次回をお楽しみください。それでは。

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