第十三章:呼び声に誘われて/02
同じ頃、戒斗は丁度大学の食堂から出てきたところだった。
「なあ戒斗、この後の講義どうするよ?」
隣には腐れ縁の親友、翡翠真の姿もある。今日の昼食は何にしようか……と考えながら講義室を出たときに、偶然廊下で彼女とバッタリ出くわして。そのまま一緒に食堂で食事を摂っていたというワケだ。
「この後……なあ。正直面倒なんだよな」
「つってもよお、お前割と単位ヤバかったよな?」
「割とじゃない、常にだ」
「おいおい……大丈夫なのか?」
「正直言って大丈夫じゃないぞ」
「えぇ…………」
平然とした顔で言う戒斗に、真が何とも言えない表情で呆れ返る。
そんな風に真とだだっ広いキャンパスの中を歩きながら話している最中、戒斗が懐に収めていたスマートフォンが突然震え始めた。
電話の着信だ。誰かと思いスマートフォンを引っ張り出し、液晶画面に視線を落としてみる。
すると……電話を掛けてきた相手は、篠宮有紀だった。
まさかと思い顔をしかめつつ、電話に出てみる戒斗。すると――――。
「俺だ」
『ああ、戒斗くんかい。私からの電話ってことで、もう察してはくれているだろうが――――敵が出現したみたいだよ。バンディットサーチャーに複数の反応があった。Vシステム、スクランブルだ』
やっぱりな、と内心で思いながら、戒斗は「だろうな、了解だ」と有紀に短く頷き返す。
「合流ポイントは……ああ、分かった。すぐに向かう。上手くピックアップしてくれよ」
最後に支援用トラックとの合流場所を確認してから、戒斗は電話を切った。
「おい戒斗、どうかしたのか?」
通話を終えたスマートフォンを懐に仕舞う戒斗のシリアスな横顔を見つめながら、怪訝そうな顔をして真が問いかける。
すると、戒斗は「悪い、急用が出来た」とだけ短く真に告げて、そのまま走り去って行ってしまう。
「あっ、おいちょっと、戒斗っ!? 講義どうすんだよー! お前もう欠席日数かなりヤバいんじゃなかったのかー!?」
戸惑う真の制止も聞かずに、戒斗は全力疾走で走り去っていく。
遠ざかっていく彼の背中を呆れ顔で眺めながら、理由も告げずに突然飛び出していった戒斗の背中を見送りながら……ただ独りその場に立ち尽くし。取り残された真は、ボソリと小さくひとりごちていた。
「なんだよアイツ、急に血相変えやがって……」
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