ご案内!異世界レビュー!シリアリスさん♪

奈名瀬

プロローグ

転生者~受付けにて~

 目が覚めるとレンガに囲まれた……そう、役場のような場所にいた。

 よくわからないまま佇んでいると、ぱたぱたと忙しそうな女性が走り寄ってきて一枚の紙を手渡される。


「ようこそいらっしゃいました転生者様!こちらの番号札をお持ちになり、受付の者が番号札の番号をお呼びになるまで座ってお待ちください!」


 言い終るなり女性は背を向け、再び忙しそうに走り出す。

 すると……彼女の背中には天使のような羽が生えていた。


 ※ ※ ※


 それから、近くのイスに座って待っているとぼんやりと自分が死んだのだということを思い出し、徐々に現実感をもって『それ』を受け入れていった。


 しかし、不思議と激しい後悔や憤りといったものを感じない。

 いや、感じてはいるのかもしれないが……ここに来てからずっと心が凪いでいる。


 ただ、生前にもっとこうしたかったな、とか。

 次の人生があるのだとしたら……なんてことばかりをぽつぽつと思い付いていき……。


「――番の転生者様ぁ」


 そんなことを考えている内に、自分の番号を呼ばれた。


 受付けらしいその場に歩み寄ると、にっこりと微笑む女性に話しかけられる。


「ようこそいらっしゃいました。私、この度、転生者様のご冥福を承りました、アスタロッテ神殿のシリアリスと申します。転生者様が次なる世界で幸多き人生を送れるよう精一杯ご案内させていただきますので、よろしくお願いしますね」


 そして、言われるがまま、差し出されるままに彼女――シリアリスが広げた『異世界』に関する資料に、目を通した。

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