怪獣コゲラの報告書

稲荷 古丹

怪獣コゲラの報告書

はじめに

 皆様どうもこんにちは、私の名前はコゲラといいます。

 一応、原作者という立場です。

 まずはこの本を手に取って下さりありがとうございます。


 早速ですがこのページを見ているあなたは私のことをどれくらい知っているのでしょうか?


 もし私の事を知らないまま書店の片隅でたまたまこの本を開いてしまったアナタ。

 この後の説明をよ~く熟読してから、買うか元の棚に戻すか判断して下さい。

 もう買っちゃったって人は...まあ、内容が気に入らなければ鍋敷きかインテリアとして使って下さい。


 ご存じない方に説明いたしますと私は怪獣です。

 よくニュースとかに出てくるアレですね。

 性別は男(オス?)です。


 誤解の無いように断っておきますが私の身柄は現在、日本政府及び自衛隊の管理下(この辺りはよく分かりません)にあり社会奉仕活動に従事しております。

 救助活動、他の怪獣による破壊行為に対する防衛活動、後はパレードやイベント参加などですね。


 それから会話によるコミュニケーションや専用ツールによる執筆なども可能です。

 この文章もちゃんと私が書いてるんですよ。決して代筆ではありません!(強調すると嘘っぽくなるのはどうしてでしょうね…)

 こういうことが出来るのは怪獣の中では割と珍しいそうです。


 ちなみに私の身長は10メートルと怪獣にしては大変小柄なので、イベントに来られたお客様方が私を見てたまにガッカリされたりもします。

 そりゃ私だってせめて某怪獣王の子供くらいの身長は欲しかったですよ。

 でもこれ以上の身長増加は望めないと博士にばっさり宣言されましたからね。

 私だってガッカリです。


 あ、ちなみに子供というのはミニではなくリトルの方です。

 ミニはちょっとブサ…いや、あれはあれで味のある顔とは思いますけどね。


 では『そもそもどうして私がこんなことになったのか』というお話をしましょう。


 私の場合は元は人間だったのですが朝起きたら既に怪獣に変化しておりました。

『突発性怪獣症』というやつらしく、未だ詳しい原因も分からない病です。

 私のように人格をそのまま有していることは稀らしく大抵は野生動物並みのコミュニケーションしか取れなくなるんだそうです。

 それから、今のところ『感染性及び遺伝性ではない』ということだけは分かっているそうです。


 ですが私としては怪獣になったことよりも寝てる間に大きくなった体が住んでいた所を壊してしまった事に滅茶苦茶焦りました。


 今更ですが大家さん、その節は大変申し訳ありませんでした。

 この場をお借りしてお詫び申し上げます。

 多分、助成金が出たと思いますがきちんと建て直せたのか心配です。


 大体、国の対応が早すぎるのが悪いんです。

 どうしたもんかと頭を掻いてる内に移送やら手続きやら、あれこれ進んでしまって、気が付いたら格納庫生活ですからね。

 面倒だからって何でも『はい、はい』と答えてはいけないと学びました。

 せめて近隣住民に謝罪する時間くらい取って欲しかったものです。

 怪獣大国ゆえのスピーディーさなんでしょうけれども一長一短な気もします。


 あんまり政府のことを悪く書くと待遇が悪くなりそうなので、この辺りでちょっとだけ持ち上げておきます(笑)。

 現在の住居は来た当初こそ酷い環境でしたがすぐに空調設備や私に合わせた調度品などを用意していただき現在では快適に暮らせています。


 また各企業からもご支援を頂き、有難いことにこうして執筆活動が出来るレベルにまで環境が整いました。

 改めてお礼申し上げます。


 そうそういつも体の調子を見てくれたり話し相手になってくれる博士にも感謝を。

 もう少しボードゲームで手加減して欲しいことを除けば最高の友人です。


 さて大変前置きが長くなってしまいましたが、本書はそんな私にとって初の著書となります。

 まあ今更『怪獣が執筆した本』という触れ込みで出しても随分新規性に欠けているなぁ、ということは理解しています。(ボルスガの怪獣生活はもちろん読みました。あれ最高に良かったのでオススメ)


 おまけに生真面目なタイトルとは裏腹に内容は私の備忘録、早い話が日記を一冊にまとめた程度の代物です。

 それだけでは流石に寂しすぎるので各報告書にコメンタリを付けたり、途中に幾つかコラムを挟んだりして最後まで楽しんでいただけるよう工夫したつもりです。

 

 さて、ここまで読んでまだ本書を棚に戻しませんか?

 今晩、鍋の予定はない?

 さりげないインテリアにしてお部屋に彩りを加える予定もない?

 あ、買いますか?


 オーケー、それでは付き合っていただきましょう。

 私から皆様への報告書を、どうぞご覧くださいませ。


 追伸:

 この本の執筆に当たって協力してくれた関係各位の皆様へ大きな感謝を。

 後、どのくらい増減してるのかイマイチ分からない家族、親類の皆へ、

 愛してるよ、割とね。

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