万能の仙人

「もしもし、ロザリンドさん?」


「ああ、坊や。能力を取り戻す方法だけど、レテイシア山の仙人なら何か知ってるんじゃないかしら」


「レテイシア山の仙人、ですか」


「ええ。レテイシア山は人里離れた密林に囲まれた、世界一の標高を誇る山よ。その頂上にいるのが仙人。最も神に近い人間だとか全知全能だとか不老不死だとか、嘘か本当かわからない噂が囁かれてるわ」


「へぇ、それは期待できそうですね」


「ただ、仙人のところまで辿り着くのは至難の業よ。密林は獣だらけ、山は過酷極まる環境だから。馬鹿以外は誰も近寄ろうとしないわ。仙人以外誰一人として登頂した者はいないって噂もあるくらいだし」


「えぇ……それって、噂が独り歩きしてるだけなんじゃ……生きて帰れるんですか?」


「あら、あなたには可愛いヒーラーさんがいるじゃない。精神力さえもてば、坊やたちならきっと大丈夫。まあ、駄目だった時はまた私のところに来なさいな。新しい武器と防具を紹介してあげるわ」


「縁起悪いこと言わないでくださいよ。俺は諦めませんから」


「ふふっ、幸運を祈るわ。レテイシア山を見て膝から崩れ落ちないといいわね」

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