天敵
「……で、なんで連れてきちゃうのよ?」
「手がかりになるかもしれないだろ。記憶がないってのも俺と境遇が似てるし、放っておけないだろ」
「ま、まあ、そうだけど……」
黒ずんだ魚臭いスープをすすりつつ、俺はアレシャンドラは横目で見やった。
相当空腹だったのだろう、アレシャンドラは得体の知れない料理を次から次へと胃の中に収めていった。
「彼女?」
ぶっきらぼうに言ったアレシャンドラに、チェリーコードは眉をぴくつかせた。
「違うわよ。私はバースとパーティーを組んでるの」
「じゃあ、私の彼氏にしてもいい?」
「なっ!? だっ、駄目!!」
「冗談に決まってるっしょ。あっはは、わかりやすすぎ」
睨みつけるチェリーコードを意にも介さず、アレシャンドラは俺の手を取って椅子を立った。
「行こ。今日は泊めてくれるんでしょ? 記憶が戻るまでは養ってよね」
「あ、ああ」
引きずられながら振り返ると、睨みの対象は俺へと移っていた。
どうやらチェリーコードとの相性は最悪みたいだ。俺は厄介な娘を連れてきてしまったのかもしれない。
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