第四部

掃除屋

 魔眼は全てを見通し、撃ち出された弾丸は必ず命中する。全ての力を込めた弾丸に撃ち抜けないものはない。

 トップランカーになり、俺――バースとチェリーコードは世界中に名を馳せていた。

 依頼が尽きることはない。犯罪者は減りつつ、治安はよくなりつつある。

 俺たちは少しずつ、本当に少しずつながらも世界を変えつつあった。

 そんな中、長期的な依頼が舞い込んできた。

 滞在先は、ロウワン以上のスラム街――サラビアロ。

 最底辺の生活水準と犯罪率を誇るサラビアロで、言うなれば俺たちは掃除を任された。

 今回は狙撃だけでは片付かない。危険な依頼になるだろう。

 だが、ウェイズリーとの決闘以来、俺は不死身のバーサーカーとして有名になった。

 俺の名を聞いたり姿を見ただけで逃げ出す者も少なくない。


「掃除屋とか殺し屋とか、なんだか不穏なパーティーになっちゃったわね」


「まあ、仕方ないさ。それより、君はいいのか? サラビアロは危険な街だ。連れていくのは気が引ける」


「あなたを一人にできないわ。私がいないと危険でしょ」


「べったりだな」


「わ、悪いっ? 私は心配してあげてるつもりなんだけどっ!」


「ははっ、嬉しいよ。君がいないと俺は豆腐と同じだ」


 俺は不死身どころか紙並みの防御力しかないバーサーカーだ。でも、チェリーコードがいれば最強のバーサーカーになれる。


「さて、そろそろ出発しようか」

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