第11話 幼馴染のキャラメルと飴

「るぅ」

ソファでくつろいでいる流季に声をかける。

「?」

「はい、これ」

「おっと」

うまくキャッチ出来ずにソファから転げ落ちる。

「いてて………何これ?」

「キャラメル」

「えー」

「不服そうだな」

「だってすぐ無くなっちゃうんだもん」

「はぁ……」

「まぁ、美味しいんだけどね」

「食べるんかい」

「おかわり」

「もう無い」

「えー!嘘だー、このキャラメル箱入りのやつだよ」

「俺が食べたんだよ」

「ふ〜ん」

「なんだよ」

「まさか他のお返しに使ったんじゃないよね?」

「違う」

「ふ〜ん……まぁいいや、じゃあ他のちょーだい」

「えぇ……」

「早く早く」

「はぁ……、じゃあこれで」

「おっと……何これ?」

「飴」

「飴って……」

「ちょうどポケットに入ってたから」

「ポッケにって……おばちゃんじゃん」

「案外、誰かさんの餌付けのために入れてるのかもよ」

「餌付けって!」

「いらないなら返して」

「……まぁ、食べるけど」

「食べるんかい」

「そりゃ食べるよ。せっかくのお返しなんだし」

「え。それもお返しに入るの?」

「入るかも」

「どっちだよ」

「……どっちがいい?」

「どっちでもいい」

「あー、それってダメなんだよ」

「そうだな。毎日ご飯のリクエストをきっちり決めている流季さんには無縁でしたね」

「ドヤァ」

「おばさんも流季は変なリクエストばっかりで大変って言ってたよ」

「ドヤァ」

「褒めてないぞ」

「えらい?」

「はいはい、えらいえらい」

「なんの話だっけ?」

「今日の晩ご飯の話」

「あ、じゃあテルミドール食べたい!」

「またよく分からない料理を……」

「お母さんに言ってくる」

「いってらっしゃい」

「あ、キャラメルと飴ありがとね」

「……どういたしまして」

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