第8話 ザーク

 ここは魔王城の一室。

 そこで彼女は目覚める。

 大きなあくびをしながらマヌケそうな表情を見せる。

 姿は女体化した魔王と変わらないくらいの身長に黒い髪、そして緋色の瞳が怪しく光っている。


「ファァァ〜」


 眠たそうに目をこすりおぼろげに目を開いている。

 それは辺りをボ〜と見つめていて、何かブツブツと呟いている。

 しばらくすると後ろの扉から誰かが入ってきた。


「ザーク様...、お目覚めですかな?」


「ン?...」


 ザークと呼ばれた少女はあどけない顔で声の主を見る。

 その執事のような魔物はザークにお辞儀をした後に説明し始める。


「兄上の死は辛く悲しいものでしたな、憎き勇者ユウリによりあなたの兄上の魔王様は命を落とされたのです」


「ユウ...リ...?」


 ザークはなんのことかわかっていなかったが、ユウリという名に使命のようななにかを感じる。


「ユウリ....!」


 少し意識がはっきりとしてくる。

 なぜかはわからないが気分が高揚してくる。

 ザークは奇声を上げながら喜んでいるような表情を見せている。

 少女とは思えない不気味な笑いを浮かべていて、まるで悪魔のようだった。

 執事の魔物はニヤリと笑いザークと呼ばれる少女を見つめていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る