そろそろ俺たちは引退か、海外の航空機メーカーの買収に乗り出そうかな

 さて、高校最後の夏休みも終わった。


 高校の場合は3学期はほぼ登校しないようなものなので2学期が高校最後みたいなものだ。


「さて、文化祭が終われば俺たち3年生は完全に引退だけど、文化祭に向けて次の部長を決めておかないとな。

 俺としては織田君にやってもらうのがいいと思うんだが」


 織田くんが一番俺に近い感じで、2年生は足利さんや細川さんのようなどっちかというとサポートメインな部員が多いからな。


 そして俺がそういうと織田君はふてぶてしく笑った。


「じゃあ今年の文化祭の台ものメインは対戦格闘ゲームのお披露目ってことでいいですか?」


「ああ、それでいいんじゃないかな。

 今年は去年以上に文化祭の時にうちの部活に入りたい生徒とかもくるだろうし」


「大体先輩たちは最近ゲーム制作以外のことにかまけすぎですよ」


「そういわれるとそうなんだけどな」


 俺がそういうと北条先輩もうなずいた。


「ゲーム制作のまとめ役としては適任だと思いますし問題はないと思いますわ。

 私の仕事の後任は豊臣さんにやっていただきましょう」


 北条先輩の言葉に豊臣さんが顔を引きつらせている。


「私でできるでしょうか?」


「他の誰にもできそうにないからあなたに任せるのよ」


「わ、わかりました。

 何とか頑張ります」


 まあ北条先輩の抱えてる業務の引継ぎはきついよな。


 俺が北条先輩に仕事のほとんどをぶん投げていたように、織田君も豊臣さんに雑務はほとんど投げることになりそうだ。


 もっともゲーム制作部の部室はライジングの本社事務所でもあるので俺たちが全くいなくなることはないけどな。


 そう思っていたら北条先輩が言った。


「そろそろ事業規模に合わせて東京に本社事務所を移動させようとおもいます。

 むろんここはここで残しますが」


「まあ、対外的にも東京に本社があったほうが見栄えはいいか」


「人の収容できるスペースも増やさなければなりませんしね」


「まあそれもそうだよな」


 サンシャイン用のゲームソフト制作をするためには現在の部屋は狭すぎるんだよな。


 極端な話ホムコンのゲームであれば5人で十分だったけど、サンシャインではそうもいかないのが実情だ。


「北条先輩。

 ちょっと忙しそうなところに悪いのだけど、パオーイングと共同開発のYS-11の後継機の予定のYXXの開発も中止になってるみたいだし、パオーイングの修理がずさんであることが大々的に知られた結果今結構ピンチみたいだし、子会社になってるザ・ハビランド・カナダを買い取れないかな?

 あそこはコミューター路線に強い機体をたくさん作ってるはずだし」


「なるほど、確かにYS-11の後継機を一から作るよりも同様なコミュータ路線向け設計思想の機体の製造経験のある海外の会社を買収したほうがいいでしょうね」


「うん、お願いね」


「わかりましたわ」


 航空機政争に関しては冷戦終了後は特に合併が相次ぐことになるので今のうちに有力な機体を製造できる会社を買い取ってしまいたいところだ。

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