DDTと東京四洋電機や西湖や田沢湖の宿泊施設も買収できたようだ
さて10月も終わっってもう11月だ。
この学校は学校行事があまり多くはないが、一年生は11月に研修旅行で北海道へ、二年生は修学旅行で九州へ行く。
三年生はもう大学入試シーズン直前だから試験勉強やら模試やらで忙しいようだが。
「会長、この学校はなんで11月に北海道旅行なんだろう?」
「この時期ならホテルなどがかなり空いていて安いからですわ」
「あ、ああなるほど、そういうことね」
たしかに11月という中途半端な季節なら北海道のホテルは安く抑えられるだろう。
函館ならまだ雪はない事が多いみたいだが、場所によってはもう1メートル以上積もる場所もあるらしいし。
「それにスキーをやるにも北海道ならもう雪も積もっていますしね」
「本州だったらまだまだ紅葉の季節なのにな。
そう言えば温泉旅館の経営状態はどうかな?」
「西湖の旅館、釣宿とキャンプ場、秋田の田沢湖及び玉川温泉の温泉旅館の買収は完了していますわ。
クニマスの発見でどちらも脚光をあびている今がチャンスですし、玉川温泉は世界でも稀な塩酸を主成分とした強酸性の温泉ですし、きりたんぽ鍋などの秋田の郷土食を売りにしていくつもりですわ。
伊東や福島の旅館は個人向けの高級旅館をコンセプトにして差別化を図ったのが成功していますわね。
以前の一族経営の経営者から現場に詳しい方を引き上げてボトムアップ方式に切り替えていったこともあって宿泊されているお客様の声も経営者に届きやすくなって顧客満足度も十分なものになっていますわ」
「まあ、サービス業はそういうの大事だよな」
「快適で素晴らしいおもてなしを受ける宿泊体験を受けることができる場所だからこそ、またこの旅館に泊まろうとなっていっているのは良いことだと思いますわ」
「だよな、やっぱりこの観光地に来たならここにまた泊まろうってなるのは大事だよ」
この時代はやる気のあるなしは社員の問題で、会社の環境は関係ないとされているが、バブル崩壊後は社員にやる気を出させることも経営の一貫とされるようになっていくからな。
旅館によくある時代遅れなゲーム筐体が置いてあるゲームコーナーは託児所にしたり、喫茶スペースにしたりして子供連れ客が宿泊しやすいようにしたりもしているようだ。
「いずれにせよ舞浜のアレみたいにお客様におもてなしに徹底させるということは大事だよな」
「ええ、そうですわね」
戦前からある旅館はともかく、戦後にできた旧来のホテルや旅館はあくまでも宿泊できて宴会ができればいいというだけのものが多いからそういう意味で差別化は難しくはない。
そして一族経営というしがらみもないから、一族関係者とその他従業員で待遇の差が大きすぎて多くの従業員がやる気を出せないということもない。
海水浴シーズンだけ、スキーシーズンだけしか客が入らないということもなく、稼働率も安定して上がってきているから運営も安定しているようだ。
「あと谷津遊園のセイントリオパークのスタンプラリーも評判も上々ですわ」
「ああ、ならよかった」
やはり小さい子にはスタンプラリーというものはとても魅力的らしい。
「あと、DDTは150億円で、東京四洋電機は100億円で、やわらか銀行系出版は10億でそれぞれ買収できましたわ」
「そいつは良かった。
DDTは中小企業などへ営業は続けさせつつ、フェイバリットに話をしてNCC BOXを無償でもいいから配布してもらおうか」
「無償で配布ですか?」
「ああ、それでDDTの回線使用料が増えれば遠距離通話だから結局はかなり儲かるはずだ。
多分10億ぐらいにはなると思うよ」
「なるほど、損して得取れですわね」
「自動車電話や携帯電話サービスももうすぐ自由化されるはずだし、東京四洋電機でプッシュホンや携帯電話の本体に開発もさせておこうか」
「わかりましたわ」
「あと蒼き彗星SPTレイヅナーのスポンサーを継続しておいてくれないかな。
視聴率自体は実は、Zガンガンよりレイヅナーの方がずっと良いみたいなんで打ち切りはもったいない。
谷津遊園の宣伝も入れて、ダンバイがプラモから離脱するならタカトクトイスに作らせよう」
「それがいいかもしれませんわね」
ダンバイがZガンガンではなくレイヅナーを打ち切ったのはプラモの売り上げの差のせいだが、視聴率が高いほうが打ち切られるのも変な話だよな。
そして”前”では四洋電機の携帯電話への参入は遅かったが、意外と高性能でファンも多かったはずだし、MTTドコデモに独占をさせないためにも早めに手は打っておかないとな。
日本の大手電機メーカーにとって家電やパソコンや携帯電話関係などは実は「本業」ではなかった。
1985年の通信自由化まで、日本の通信市場は日本電信電話公社による独占状態で、その後もMTTを家長とした「電電ファミリー」であるMEC、富士Ⅱ、常陸製作所、西芝、隠岐電気工業が電話関係をほとんど独占し、MTTが仕事を投げ電電ファミリーの企業は「MTTの言う通り」に通信機器を開発していった。
そこで問題なのはドコデモなどの通信会社が顧客に端末を売ることで、電器メーカーはドコデモに下ろすだけで、ユーザーの声が聞こえていなかったことだ。
これは電力が家長として君臨し、西芝や常陸製作所、四菱重工業などの「電力ファミリー」が発電所などの電力インフラを通産省と電力会社が仕事を投げて西芝や常陸製作所、四菱重工業がそれをうけるというものの同じだった。
だからこそ発電所事業があれば安泰な西芝は韓国企業へフラッシュメモリ等の技術を簡単に流してしまったのだ。
日本が80年代まで電話通信や発電所などの電力インフラを整えていった高度経済成長期では、電電ファミリーと電力ファミリーは安泰であった。
米国も日本の共産化を防ぐ意味もあって、日本企業に半導体の先端技術をタダ同然で教え、日本がテレビや自動車などを作れるようになると、それを大量に輸入し電気事業法によって、特定の電力会社に対してそれぞれの地域で独占事業を認めるかわりに、電力の安定供給を義務づけるという施策をとってきたが、これはソ連や中国の防波堤である日本に早く豊かになってほしかったことやアメリカへの敵意を抑えるためでもあった。
しかし日本で学生闘争の時代も終わって共産主義が日本で広まる可能性はほぼなくなり、ソ連が崩壊して1989年にベルリンの壁が崩れ東西冷戦が終わると、米国は日本を庇護の対象ではなく、対等な競争相手と見なして、日本の総合電機の力の源だった電電ファミリーや電力ファミリーの談合構造を切り崩しにかかった。
その手始めがプラザ合意であり「日米構造協議」による通信自由化と電力自由化であった。
通信自由化で日本の談合構造に風穴を開けたのはやわらか銀行で、スマートホンの販売でも先陣を切っていったのに対し、MTTドコデモではその導入が大幅に遅れたことでスマホ事業では圧倒的に遅れを取った。
電力自由化は2016年から始まる電力小売りの完全自由化が有名だったが、実はその前の1995年にはすでに電気事業法が改正され、発電は原則として参入が自由になっており、小売については段階的に自由化が行われ、まず大型工場などの「特別高圧」分野、続いて中小規模工場などの「高圧」分野が自由化され、家庭向けの「低圧」分野も2016年4月に自由化された。
もっとも送配電については、電力小売全面自由化後も、政府が許可した事業者が担っているので大手電力会社が設備投資を控え、電気料金を値下げし、反対に送電線の使用料金を高く設定することで新電力事業者は価格競争で不利になり史実的には電気料金はあまり下がらないという状態であったりもするので結局は完全自由化とは言えないのであるが、アメリカの完全に電力事業が自由化されたのちのカリフォルニア電力危機では停電が頻発しエンロン問題もおきたりなどもあるので、発電と小売と送電設備を分離する電力自由化はいいとも限らないのが難しい所ではあるが。
それはともかく日本の場合は85年の通信事業で新規参入した新電電との価格競争で、MTTの設備投資は大幅に減少して電電ファミリーも売り上げは大きく下がった。
電力ファミリーの設備投資も2000年代には80年代の5兆円から2兆円を割り込むまで落ち込み、ITバブル崩壊でパソコンが、リーマンショックでデシタル家電液晶テレビやデジタルカメラが売れなくなって、2011年3月、東日本大震災が起たことで東電は巨額の損害賠償金を背負い、事実上の国有化によってなんとか生きながらえている状態となって電力ファミリーは崩壊した。
西芝や常陸製作所などの苦境は、その収益の多くが大手電力会社頼みだったことが原因であって、その他のメーカーも含めてパソコンや半導体を軽視していた日本の電機メーカーは結局壊滅状態になったのだ。
なので四洋電機には躍進してもらって西芝や常陸製作所には危機感を持ってもらいたいところだ。
「10年後には発電事業になんとか参入できるようにしたいところだな」
「だいぶ気の早い話ですわね。
来年の話をすれば鬼が笑うといいますわ」
「まあ、そうだけどさ。
10年後20年後も考えておかないと駄目だとは思うぜ」
しかし兆の単位で設備投資が出来る大手電力会社とやり合おうってのはやっぱり無謀だとは思う。
けど中越地震の柏崎原発や東日本震災での福島原発の事故で安全性に問題があることはわかっているし、津波対策やパイプに対する免震化をすすめさせつつ、安全性が高く発電効率もいい高温ガス炉と加速器駆動未臨界炉の研究とか早期の実用化も東京大学とかでしてもらいたいところだ。
これは軍用航空機などにも言えると思うが、そもそも技術的に時代遅れになりやすい設備を50年ほどの長年にわたって使い続けなきゃいけないというのは原子力発電などの根本的な問題だとも思うんだが。
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