谷津遊園の施設、まずはプールで泳いで、ビーチでスイカ割りでもやるか、後ゲーセンのゲームが古いのを忘れていたぜ

 さてテレビのインタビューも終わったので、俺達は早速ゲートをくぐって中にはいる。


「そうそう、こんな感じだった」


 俺が言うと斉藤さんも来たことがあったようで頷いた。


「そうね。

 ちょっと懐かしい感じがするわ」


「うーん……なんというか……」


 会長にはいまいち何が楽しいかわからないらしい。


「まあお嬢様にはこんな場所は縁がなくて当たり前だけど、庶民にはとても楽しい場所なんだぜ」


「あら、そうですの?」


 正面入口から大観覧車までの間にある道の脇には芝生や花壇や噴水などがある。


「昔はこの芝生の上で両親と一緒に弁当をたべた気がする」


 俺がそう言うと会長が聞いてきた。


「食べ物の持参持ち込みは良いのですか?」


「うん、持ち込んでもいいんじゃないかな?

 ちょっとしたピクニック気分になるし」


 俺がそう言うと斉藤さんも言う。


「食堂や売店を使いたい人は食堂や売店を使うと思うわ。

 そのあたりは選択肢があっていいと思う」


 舞浜のアレは食べ物持ち込み禁止で中の食べ物が馬鹿高いから、そのあたりの評判は良くない。


「まずは海岸を見てからプールで泳いでみようか」


「暑いしそれがいいわね」


「賛成ですわ」


「さんせーい」


「それでいいです」


「自分もそれで問題ないっす」


 というわけで、男女別の更衣室で皆、水着に着替える。


 ちなみに俺は普通に青いトランクスタイプだ。


 うちに学校指定のスク水とか無いんだよな、体操服は男は短パンで女のはブルマだけど。


「おまたせ」


 まずは斉藤さんは白のフリル付きのビキニ水着。


「斉藤さんの水着は無難なのか派手なのかなんとも判断しづらい」


 俺がそう言うと斉藤さんは心外だと言わんばかりに言う。


「あら、無難なつもりだったのだけど?」


 会長は真っ赤なビキニだ、横は紐で止めるタイプで結構露出が大きい。


「さすが会長は派手だな、まあ似合ってるけど」


「うふふ、褒め言葉と受け取っておきますわ」


 最上さんは黒いカットアウトのハイレグなワンピース。


「胸の下とかへそとか背中がでてたらあんまりワンピースの意味がないような?」


「かわいいし足も長く見えるからからいいんです!」


「まあ可愛いからいいのか」


 朝倉さんはピンクのフラワープリントが施された3段フリル付きワンピース。


「なにジロジロ見てるんですか?

 私だけ胸が小さいとか思ってるんですか?」


 なんかムスッとした表情で朝倉さんにそう言われて速攻で否定する。


「いやいや!

 そんな事は全然考えてないよ!

 朝倉さんにすごく似合っていて可愛いと思うし」


 俺がそう言うとぷいっと顔を背けて朝倉さんが言った。


「ま、真顔で、かわいいとかいうな! です」


 明智さんは明るい黄色の胸元が深く開いたやっぱりハイレグなワンピース。


「その胸がでかく開いてるワンピースも流行りなの?」


「そっすよ、こういう水着が今年の流行なんすよ。

 部長は知らないんっすか?」


「すまん、全然知らなかった」


「だめっすねー。

 流行を掴まないと乗り遅れるっすよ」


「そう言われると面目もない」


 ちなみにこの頃にはまだパレオはないらしくてもう少しあとっぽい。


 プールの種類は7つ、円形の流れるプールに、四角くてでかいマンモスプール、これは冬にはアイススケートリンクになるやつだ、それに標準的な25mプールに、波のプールに、子供用円形プールと正方形で四角い海水プール。


「お、ウォータースライダーもあったんだ」


 日本国内のウォータースライダーの元祖は、1963年に船橋ヘルスセンターに設置されたものが最初であるらしいが、そっちが閉園した時にそれを組み込んだらしい。


 このウォータースライダーはいわゆるすべり台と同じように直線型で勾配もゆるい物でそこまでスピードは出ないと思うけどな。


 そのあと1970年代になってコースが曲線だったり、一回転するようなものがでてきたらしい。


 階段を使ってスタート台へ上り、水の流れるウォータースライダーを滑り降りる。


「ひゃー、意外とスピード出て楽しいなこれ」


 女性陣もキャーキャー言いながらウォータースライダーを楽しんでる。


 ちなみに野外ステージやトランポリンがこの近くにあるので水着のままでショーやコンサートを見るやつも結構いたはずだ。


 トランポリンには「危険なので宙返り禁止」と書いてある。


「まあ、あぶねえよな、確かに」


 頭から落ちて怪我したりしたやつも多分いるんだろうし、子供はむちゃするからな。


 ウォータースライダーを楽しんで、流れるプールでただ流されるままのクラゲのように漂った後は、海岸に行く。


 それとは別にスワンボートや手こぎボートなどがつながっている場所もあってそれを漕いでで楽しむエリアもあるし、水上スキーも楽しめるらしい。


 潮干狩りや海水浴なども一応できるんだが……。


「水も汚いし海水浴はあんまりやらないほうが良さそうだな。

 どうせ海水プールもあるし」


 そこで最上さんが言う。


「なら夏の砂浜で定番のスイカ割りをやりましょう!」


「ああ、そういうのいいね」


 海の家風のビーチハウスでスイカを買い、目隠し用の布に棒やスイカの敷く敷物も借りる。


「じゃあ俺からやってみんな」


「がんばって」


 目隠しをしてくるくる回った後に右だ左だ正面だと周りの適当な指示に従ってスイカをわろうとしたが外した。


「あー、当たらないもんだなー。

 だいたい右か左かどっちなんだ?

 ちっともわからなかったけど」


 俺に続いて斉藤さん、朝倉さん、明智さんも挑戦したがハズレ。


「割れないとこれはこれで寂しいな」


「フフ、おまかせくだいさい」


 最後に挑戦した会長が見事にスイカを割った。


 ちゃんと包丁を軽く入れてあったらしくて意外ときれいに割れてる。


「さすが会長」


「この程度なら簡単なことですわ」


 そう言えば会長は運動神経も抜群だったっけ。


 皆でスイカを切り分けてたべたら、少し陽も傾いてきた。


「そろそろ服に着替えてアトラクションに乗るか」


「そうね、その方がいいと思うわ」


 斉藤さんがそう言うと、会長も頷いた。


「体を冷やして風邪をひいいては困りますものね」


 というわけで服に着替えた俺達はプールや海岸からはなれてアトラクションに向かう途中で、ゲームセンターに立ち寄ったんだ。


「ありゃ、あるのは古いエイリアンとかパクパクマンとかギャラクティカか。

 こりゃ流石に入れ替えないと駄目だな」


 逆にしばらく保管しておいたらレトロゲーマーが寄ってきそうではあるけど。


「では、SAGAに連絡をしたほうがいいですわね」


「できればニャムコやカプコ、タイトの最新ゲームも欲しいな」


「わかりましたわ、事務所に戻り連絡をとってみます」


 というわけで会長はここで離脱、小さなゲームセンターにはないようなSAGAとかの特殊大型筐体のゲームがほしいが、その分余計に金もかかるんでどうするかは会長次第かな。


 とりあえず古いゲームでもちゃんと稼働はするようだから、最悪最初はこれで行くけど。

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