厄介事には巻き込まれたくない
姫様の部屋にて脅迫状を送られたことにより、接待室で待機することになった。
姫様は怯えており、涙を流していた。本当は聞き込みをしたかったがそれどころではない。
「姫様……ハンカチを」
ユミナはハンカチを取り出した。
「あ、ありがとう。ユミナ。少しほっといて欲しいわ」
ショックだったのか機嫌はよいとは言えない。
ただ心配なのは
「ローナ姫! 大丈夫でしたか!」
アナが急いで姫様に駆け寄っていく。ただユミナはそっとするように手で塞いだ。
そしてレノフィはアズサに近づいて耳元であることを言い始める。
「アズサ。王様とお話があるから来て欲しいと……」
「え?」
いきなりすぎる。ただいいのだろうか。アズサ達が仕掛けたと疑われてもおかしくないのに、話があると持ち掛けられるのが、不思議でしょうがない。
そして衛兵に案内をしてもらい、王室の方に向かった。王様の警戒心を疑いたいぐらいだ。
「王様。例のお客様です!」
「入りたまえ」
案内してくれた衛兵は扉を開いた。
すると玉座に王様らしき人物が座っていた。金髪で腰くらいの長さはあった。そして顔は穏やかで髭がフサフサに生えている。
「だ、大丈夫でしょうか?」
レノフィは不安そうに聞く。少しぎこちないのは無理もない。
「仕方ない。とりあえず近くまで行こう」
二人はカーペットの道に進むように玉座に近づいた。ある程度の距離になると騎士の二人がハルバートで“ここまで”と交差させて道を防がれた。
「動きからして初めてのようだな……ホホホ」
穏やかそうにアズサ達を見抜いたかのように答えてきた。
この王様はただ者でなさそう。まるで手の上に転がされそうな気分になりそうだ。
「は、はじめまして。私はアズサ・ツムギと申します。こちらは相棒の……」
「レノフィ・シェイムです」
二人は膝をついてあいさつをした。
イメージでしかないが、本や漫画だとこれでいいのか不安だった。
「ホホホ。丁寧にありがとう。無理はしなさるな。頭を上げなさい」
二人は頭を上げ、王様の言動に少し以外に感じるように一度見つめ合う。
「要件は聞いておる。とりあえず事件に関しては後にしよう。誰を探しておるのだ?」
「この方を探しています。見覚えはありませんか?」
アズサは騎士の一人に写真を渡す。
そして王様の方に持ってかれて確認をしていた。そしてまじまじと見て目を少し凝らしている。
「……似たものが居たな」
レノフィは驚くように思わず立ち上がる。
「それは本当ですか?!」
「うむ。ワシが子供の頃にいたんじゃが……所在がわからなくなった」
アズサは王様の動きと反応を観察をしていた。
反応からして偽りもなく、動揺した様子はない。
そしてレノフィの動きは流石だ。わざと驚いた反応を見せることで、図星でないか確認もできる。
「その者を詳しくは教えてもらうことはできますか?」
「うむ。構わないが今回起きた事件に関係するかもしれん。だから守備をお願いをしたいの」
アズサは動揺し、最初は交渉と考えた。 ただ様子的に違う、多分事情があるから巻き込ませてると思う。
そうでないとあの答えは出てこない。
「守備ですか? 部外者の私たちがお姫様を脅したと思ってないのですか?」
レノフィはあえて鎌をかけてきた。
彼女の言う通り、本来は犯人として候補に入るはずだ。しかしこの王様は守備をお願いするのは本来はおかしい。
「ホホホ……。ワシはそこまで節穴ではない。そこのお嬢ちゃんの報告通りなら手紙についてた血はまだ新しいものと聞いておる。本来なら服に血が残ってもおかしくもないのに、旅人のものが着替えの服を持っているのか?」
鋭い観察力だ。確かに着替えの服がないのに血を浴びずに済むわけがない。
そして衛兵に耳が入っているなら、アズサ達は刃物は一切持っていない。
「だから確信をしておるから大丈夫じゃ」
「ありがとうございます……。ただ守備というのは?」
アズサは一度頭を下げたあと、守備について質問をしてみる。
「うむ。今夜の王位継承の儀を警護をしてほしい。できるのなら参加者として混ざって欲しいのじゃ」
「わかりました……ただ謎があります」
レノフィは一度区切りを付けてきた。
「うむ。構わないぞ」
「なぜ今起きた事件の詳細を聞かないのですか? まるで何回か起きてるかのように進めていられますね」
王様は一瞬動揺をした。切り込みが大きいせいか口を閉じていた。一分後に王様は口を開き始めた。
「そうじゃの……。ここ最近になってから脅迫が来るようになっての……」
渋々した感じに語り、今まで悩んでたことを吐き続けた。
「私は確かに酷いことはした……。じゃがワシは
恨みを買うことはしたのは間違いなさそうだ。ただ
「なら探している彼とは関係はあるのですか?」
「うむ。その者と関係あるというのは、祖先じゃよ」
「そ、祖先?」
レノフィは思わず口にする。
「その者の妻がある村の出身じゃったがその村を燃やしたんじゃ」
つまり復讐……。恨まれてもおかしくは無い。
「もしかして……その祖先がやったのではないかと言うことですか?」
「そうじゃの……」
アズサが答えた通りだ。
もし祖先が犯人ならほっとけない話でもある。
『あれ? 待てよ。
改めて考えるとこれは厄介事に巻き込まれた。正直に言うと放棄したいくらいだが、女神は許さないだろう。
「と、とりあえず引き受けましょう。今夜くらいにまた……」
「うむ。よろしく頼む」
アズサ達は王室に出ようとする。
『参ったな……女神に文句言うか』
強制的に謎を解かないといけなさそうだ。
そして二人はそのまま接待室に戻った……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます