星渡りの王子様と再会の少女たち
武石こう
はじまり
少女たちが見た少年星(そらわたり)
あるところに
彼は最初から星渡りであったわけではありません。十三歳、ある日突然なりました。そこから数々の世界、数々の戦い、数々の試練、数々の出会いと別れを繰り返し、数々の経験と思いをまだ幼い体と心に放り込まれ続けて歳を重ねていきました。
得たものがあれば失ったものもある旅です。
星渡りにも両親がいます。友達もいます。自分の世界(現実)があって、暮らしがあります。それでも彼は呼ばれればその世界へと行き、どんなことがあっても星渡りであることをやめはしませんでした。
彼の持つ力は広く広く大きく深く、みんなが求めます。
星渡りには多くの出会いがあったと書きました。その中でも大きな出会いは、少女たちです。それぞれの世界でそれぞれ出会った少女たち。
星渡りは世界を救う中で少女たちと仲を深めていきましたが、彼が自分の使命をまっとうし、現実へと帰らなければならないとき、救った世界の記憶と別れなければならない決まりがありました。世界の記憶。それは少女たちとの思い出も含まれていました。
どうしようもない決まりです。彼はほとんどのことを忘れ、自分の世界へと帰るのです。
そのあとです。
星渡りと別れ、穏やかへと進み始めた世界で過ごす少女たちは、彼が救ってくれた世界のため一生懸命頑張りましたが、新たな願いが生まれました。
「もう一度星渡りと会いたい」
その思いはどんどんどんどんと膨らんで、夜空を隅々まで探してみますが、月や遠くの星々の中に星渡りの姿は見つけられません。
周りの人たちも気づきます。彼女たちが星渡りを思う姿を無視できませんでした。
やがて彼女たちに言いました。
「星渡りに会いに行ける方法がある」
それを聞いた少女たちはそれぞれ違う反応をしました。
照れ隠しをする者。
みんなに悪いと言う者。
驚き困惑する者。
無邪気に喜ぶ者。
それぞれ違う反応をした少女たちでしたが、全員星渡りに会いに行くことを決めました。星渡りに忘れられているとしても。
自分の気持ちを確かに見つけたとき、あるべきことを超えてゆけるのです。
少女たちは旅立ちました。自分たちの世界から星渡りの過ごす、彼の現実へと。
このお話は少女たちと星渡りのお話。いつかあり、どこかである物語。
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