メイドハウスは文明開化の雰囲気が漂う


 懐かしい母校での交流会は終わりました。

 この後、足立先生と校長先生が、お茶など勧めてくれますので、ティータイムと洒落込んでいる梅香さんです。


 いろいろな四方山話の後に、校長先生が、

「ミヤコ・メイドハウスの所在地の選定をなされているとか、お聞きしましたが?」


「はい、なにか良いものはありませんか?」

「そうですね、たしか関西日仏学館がカフェをしていましたが、マルス移転で維持管理が難しくなったと聞いています」

「このマルスでは土地は使用権のみ、しかもナーキッドの許可がいりますので、困っているとか、いかがですか?」


「校長、建物は良いでしょうが、土地が手狭でしょう、ミヤコ・メイドハウスなのですから、多くの女性が住むのですよ、多少郊外でも広い土地がいりますよ」

 

「それなら伏見桃山城運動公園などは、いいのではありませんか?」

「昔の遊園地の?」


「今ではグランドになっています、それに大小の天守閣が残っていますし、あのあたりは丘陵になっており、近傍の桃山御陵は移転していませんので、拡張することも可能です」


「それ、いいですね、確かに問題はありませんね、なんせミヤコ市にいえばいい話、立ち退きは問題ない上に、オーナーはお城がお好きです、よい考えを教えていただきました、ありがとうございます」


 この話、美子さんがノリノリで、あっという間に話は決まりました。


 美子さん、取りあえず大小の天守閣を、構造補強していました。

 入口も移設されていたので、これを改築していました。

 敷地全体を、白壁が取り巻いています、かなりシックな雰囲気ですよ。


 敷地は九万一千平米あります。

 建物群は、いわゆる疑似洋風建築が建てられることになりました。


 有名な築地ホテル館を、そっくりそのまま宿舎代わりに建てるようです。

 二階建ての本館と平屋からなり百二室。

 水洗トイレつき、ビリヤード室、シャワー室、バーも備えられているようです。


 当然耐震対策は完璧、敷地全体が耐圧盤ピットの上にのる人工地盤で、ものすごく強力な永久磁石の上に乗っています。

 初代甲府徽典館と、二代目甲府徽典館なども、建てられる予定です。


 美子さんがその気ですので、三月で完成するようですよ。

 失火はあり得ません、何といってもナノマシンが守っていますから、現地採用の女官補さんは一月後とします。


 どうやらミヤコ・メイドハウスは文明開化の雰囲気が漂うことになるようです。


 あれ以来、足立先生とは、ホテルで時々食事などを共にする梅香さんです。


「先生、退職されたらどうするのですか?」

「まだ考えていないのよ、私一人身ですから」

「では都女子学園の、女子寮の舎監さんになりませんか?」

「あんなエリート校の?」


「あそこはミヤコメイドハウスの管轄なのです、一般課程の方の女子寮を作ることになり、舎監さんを探しているのです、ミヤコメイドハウスの、現地採用職員になりますが」

「嬉しいわ、出来ればお願いするわ」


 暦としては二月末、学校は卒業の準備などに忙しそうです。

 ミヤコメイドハウスの建物が完成間近で、ネットワークの中枢に職を得るメイドさんが、ミヤコでは評判になり始めています。

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