まずい事です。


「はい、富田です、盆踊りに一緒に行くつもりですが……大丈夫です、今夜は私の順番ですので……」

「はい、しっかりとくっついて、関係ない他の女など寄せ付けません!」


 話終わった沙織に、美子さんが、「誰から?」と聞きます。

「聡子様からです、今から行く盆踊りには、太田高等女学校の生徒が踊るそうですので、目を離さないようにと云われました」


 太田高等女学校って、田園調布にある私立のお嬢様学校ですね。

 鈴木商会が後援ですから、詳しいようです。


 ……


「参加は取りやめますか?」


 そこに再び、沙織の携帯が鳴ります。


「はい、富田です、えっ!東京調布女学校の生徒も!商店街の肝いりで、今年は大規模に近傍の女学校を動員している」

「その上あちこちに招待状を、東京女高師の同好会も参加!大変、そんな処へ美子様がお出ましになるなんて……」


「美子様、今夜はやめましょう」

「行きます♪断固として行きます♪」


 ……困ったことになったわ、でもここで無理にやめるのは……美子様のへそ曲がりは有名、なんとかしなくては……

 そうだ、ここは皆の力を借りなくては……


 二人は沙織の家につき、

「吉川様、先にシャワーでもいかがですか?」

 美子さんにシャワーなど勧めています。


 沙織さん、次々と電話をかけています。

 通話先は次の方々。


 オディール女学館八回生のアテナイ・マッケンジー、同じくアリス・リディル

 オディール女学館七回生の山下藤子

 オディール女学館六回生の吉原綾乃

 オディール女学館四回生の鈴木智子

 オディール女学館三回生のココ・リディル、同じくカミーラ・ドン

 いわゆるナーキッドの関係の女生徒たちですね。


「そうです、吉川様がお出ましになる盆踊りですが……そう、太田高等女学校と東京調布女学校は校内行事として参加……」


「特に太田高等女学校は超お嬢様学校、何気なく誘ったのですが、今年は商店街が盛大に計画していたらしく、そう把握していなくて……」


「行く気満々の美子様ですので、何とか美子様をガードしなくてはと……そう、今三時半ですので、何とか六時十分前までには、私の家に集まって下さりませんか?」


 概ねこのような会話をしていました。

 この内、カミーラ・ドンさんと、山下藤子さんは金曜の夜から故郷へ帰るとの事、アテナイ・マッケンジーさんと、鈴木智子さんは、部活で合宿だそうです。


 シャワーを終えて出てきた美子に、

「盆踊りですが、アリス・リディルさんが行きたいと電話をかけてきまして、ココさんと吉原綾乃さんを誘って、六時までに家に来るそうです」


「アリスが?リディル姉妹が来ると、恥ずかしい事になるわよ」


 たしかにそうでしょうが、アリス様がいれば、振り回されて悪さなど出来ないはず……その方が望ましい……でも夜伽の順番は……仕方ない、シェアするしかないわね……


 午後六時前……

「盆踊り♪盆踊り♪」

 アリスさんとココさんと綾乃さんがやって来ました。

 でも付き添いがいます。

 鈴木聡子さんです。


「あれから父に問い合わせたら、商店街が招待状を大量に送ったそうで、参加承諾が結構来ているようなの」


「まずい状況よ、太田高等女学校と東京調布女学校以外に、急遽、自由が丘にあるプリンスエドワード・インターナショナルスクール高等女子部も参加するそうよ」

 

「申し訳ありません、私が不用意にお誘いしたものですから……」

「あの美子様ですから、もう止められないわ」

「それに、先ほど茜様から通信があってね、美子様の好きにさせなさいって」


「先ごろまで、大変な苦労をさせたのですから、これで美子を誘惑できる女がいるなら、二三人拾うことになっても構わない、そのようなお言葉でした」

「ナーキッドの幹部会にも、同じような趣旨の通信が入っているわ、貴女も含んでいてね」

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