第140話 お仕事の時間
「お帰りなさいませ、カリス様。お話中すみませんがそろそろよろしいでしょうか?」
アカリを紹介して、ローリエとサーシャとアットホームな雰囲気を楽しんでいると、これまで見守っていたジークが俺を連れ出そうと割り込んできた。
俺が二人を愛でるのを認めつつも、お仕事もしっかりさせるという鋼の意志を感じるそれだけど、もう少しくらい良くない?と思う俺は贅沢なのかな?
「分かった。じゃあ、アカリの案内を頼む」
「承知しました」
「サーシャ、夕食は食べられそうかな?」
「はい、大丈夫です」
「なら、夕食は家族で取ろうか。夜は……ね」
パチリとウインクすると、サーシャが赤くなってこくりと頷く。
妊娠中だし、夫婦の夜の営みをする訳ではないが、俺と居ると高確率でイチャイチャになるから、色々思い出して照れてるのだろう。
何度スキンシップしても、全く慣れずにこうして初心な反応が帰ってくる……もうね、最高以外に俺は言葉を持ち合わせませんよ、ええ。
「お父様、アカリさんは私が案内します」
「そうかい?なら、よろしくね」
お出かけで疲れてそうではあるけど、ローリエがやる気満々なのでやらせる方向で頷いておく。
それと同時にジークにも視線を向けると、奴は分かってるとばかりに頷いた。
アカリの事情は、屋敷に遣いを出したことで、ジークや屋敷の人間は承知してるだろうし、その辺は心底してないが、何かあった時の対処に抜かりないようにだけは徹底しておく。
この屋敷の人間は俺も全て把握してるし、公国の人間がスパイとして入り込んでいる可能性はほぼ無いが、すり替えが会った時なんかは臨機応変に対応しなければだし、多少は外からの警戒をいつもよりするようにはしておくに限る。
まあ、その辺は後々必要なくなるだろうけど、今だけは必要だろう。
「公爵様〜、奥様、ローリエ様〜」
そうしてやり取りしていると、アカリが俺たちを呼ぶので視線を向けると、アカリはぺこりとマイペースな様子は崩さずに一礼して言った。
「色々、面倒をお掛けしますが〜、よろしくお願いします〜」
「ああ、ローリエのこと頼んだよ」
「はい〜、精一杯頑張ります〜」
一見すると、やる気満々という様子には見えないけど、そこそこの時間の観察によると、これでかなりアカリ的にはやる気満々のようなので、そのやる気を尊重しながら頷くと俺はジークに急かされて、その場を後にする。
ローリエがアカリを案内する前に、サーシャのエスコートをしてくれるそうで、頼もしい娘に感動しながら俺はお仕事へと戻る。
癒しが恋しいなぁ……。
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