第120話 やはり母娘
「お父様、似合いますか?」
お忍びということもあり、少し地味目の服をチョイスしている俺であったが、ローリエはやはり何を着ても愛らしいものだ。
本日の格好は、町娘風のスタイルの我が愛娘。
やはり、元が良いので何を着ても似合うが、この可愛さに城下の子供たちが一目惚れしまいか少し心配にもなる可愛さであった。
「うん、似合ってるよ。最高に可愛いね」
「えへへ、ありがとうございます」
くるりと回ってから、天使のような笑みを浮かべるローリエさん。
うーむ、ここまで楽しみにしてくれているのは父親としてこれ以上ないくらいに嬉しいことだが、この愛らしさにセリュー様が惹かれる可能性は非常に高いので悩ましいところ。
セリュー様が俺の知ってるゲーム通りの人格になる可能性は低いとはいえ、父親として思うところがない訳でもないので、なんとも言えない気持ちには違いない。
まあ、ローリエが本気で惚れたなら野暮な真似はする気は無いけど……そのローリエは今のところそこまでセリュー様に惹かれている様子は無いので、しばらくは様子見でいいかな。
「お父様、お父様」
愛娘の愛らしさに思考を飛ばしていると、ローリエが俺の服の袖を引っ張って何かを伝えようとしてくる。
屈んで、ローリエが耳打ち出来るように近づくと、ローリエは俺の耳元で何とも嬉しそうに言った。
「きょうは、おかあさまのぶんまで、おとうさまをひとりじめするね」
……母娘揃って、本当に小悪魔ですこと。
2人きりの口調に戻るくらいにはハイテンションだが、お姉さんモードを解く気はないその様子は流石は俺とサーシャの娘という感じであったが、それにしても末恐ろしいものだ。
これは、セリュー様が惚れるのは時間の問題かもしれないなぁ……俺がセリュー様だったら、こんなに可愛い子に惚れない道理はないし、実際サーシャにメロメロな俺としてはそのうちサーシャに届きうるスペックには正直凄まじいとさえ思ってしまう。
「……うん、楽しもうか」
そう答えると、実にいい笑みで頷く愛娘。
その愛らしさに、流れるように抱っこをしたくなるが、それは後に取っておき、俺はローリエと手を繋ぐと馬車へと向かうことにする。
しかし、町娘スタイルか……サーシャにも似合いそうだし、体調が落ち着いて、サーシャとお忍びする時には是非着てもらうとしようかな。
まあ、そのまま連れ込んで朝までコースが目に浮かぶが……可愛いものを愛でたいのは人の本能なのでどうしようもないよね。
そう、俺がサーシャをついつい愛でてその結果愛の結晶が出来るのは自然の摂理なのだ。
無理強いはしてないのだが、切ない顔で「旦那様……私に旦那様をください……」なんて言われたらねぇ……もう、全力でイチャイチャするしかないでしょ。
その結果の愛の結晶のローリエは、自慢の愛娘だし、本日はセリュー様のエスコートだけど娘とのお出かけを楽しむことにしよう。
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