『スキルガチャ』というアプリを見つけて平凡な日常が一変したので、悪に染まってみようと思う。

黒雪ゆきは

000:始まりの午前0時。


「ん……」


 目が覚めた。

 寒い、ベッドから出たくない。

 とりあえずスマホを取り、時刻を確認する。


 ───『23:49』


 すでに夜中だった。

 まぁ、珍しくはない。

 金曜日は帰宅してなんやかんやしたらとりあえず最速で眠る。

 そしてそのまま土曜に突入し、一日中ベッドの上で寝たり起きたりを繰り返しながら深夜に起床。


 今回もそれだ。

 

 何も珍しくない。


 でもさすがにもう眠れないので、5分くらいぼーっとしてから体を起こす。


「ぬわー、しんど……体痛てぇ……」


 これも毎回の事だ。


 とりあえず部屋の電気をつけて、体中のいたる関節をゴキゴキとならす。


 ……腹減った。


 空腹を満たすために俺はとぼとぼキッチンに向かう。


 電気ポットでお湯を沸かし、カレー味のカップラーメンに注ぎ込む。

 その上にタオルをのせて、箸をとり、テーブルに移動。

 3分間ぼーっとしたら───


「いただきます」


 ズルズルと化学調味料の塊のような麺を口に運び、味わう。

 

 あー美味い。


 体に悪いとかどうでも良くなる美味さ。

 やっぱカレー味が至高だわ。

 飽きる気配がない。


 …………。


 ふぅー。


「ごちそうさまでした」


 またぼーっとする。

 まだ脳が起きてない気がする。

 2割くらいしか起きてない。


「……暇だな」


 勝手に俺の右手がスマホをイジり始める。

 ツ〇ッターのアイコンをタップし、パラパラと目を通していく。

 たいして面白いツイートは見つからない。


「はぁー」


 そして再び暇になる。

 なんか新しいゲームしたいな。

 ふとそんなことを思った。

 でもガッツりって感じじゃなくて、手軽なやつがやりたい。


 なら───アプリか。


 俺はその結論にたどり着き、『Ap〇Store』のアイコンをタップする。

 暇潰しになるソシャゲでも探そうかなーとか思っていた。


 でも、起動してすぐのトップ画面に出てきた“おすすめ”に、俺の興味は完全に奪われた。



 ───『スキルガチャ』

 


 大して主張のないその広告。


 ちょうど『0:00』になった時のことだった。


 あ、これオモロそう、と俺はなんか運命的なものを感じてとりあえずタップした。


 そして迷わず『入手』をタップ。


 ダウンロードが始まる。


 一瞬で完了した。


 いかにもガチャから出てきそうな赤いカプセルがあり、その中に光った玉のようなモノが入っている絵面のアイコン。


「なんかゲームではなさそうだけど……まぁいいか」


 そんな独り言を呟きながら、俺はそのアイコンをタップした。

 

 


【後書き】

とりあえずこの作品は全6話で完結させます。

それでもし好評のようでしたら、しっかりとプロットを作り正式に連載を始めようと思います。

少しでも面白いと思っていただけたらフォロー、★、コメントの方よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る