第39話 虹の見える場所
部屋に戻って、返信に悩む。
何度も何度も、書いては消し、書いては消し。
ようやく文面が出来上がり、すぐに送信ボタンを押した。
菅谷 ひかり『隆二さん、お誘いありがとうございます。明日ですが、ラムール以外でしたら、どこでもいいですよ』
網谷 隆二『連れて行きたいところがあるんだ。お昼は、ラムールで食べる?』
ラムール以外なら、とちゃんと書いたのに……なんだか可愛らしいひとだな、と思って、くすくす笑いながら返信を書いた。
菅谷 ひかり『お昼は食べてからにします。虹の見えるところで待ち合わせでいいですか?』
網谷 隆二『わかった。13時に、盲学校の前で』
***
目を覚まし、枕元の時計に時刻を教えてもらう。「午前11時38分デス」……もう、出かけなきゃいけないじゃないの!
「お母さん、ごはん食べたら出かけるから!」私は慌てながら母親に言った。
台所からは、醤油の香り、みりんの香り、お魚の匂い、それからこれは……大根?
「お昼はブリ大根よ。顔洗ってらっしゃいな。用意しておくから」と母親は言った。
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