【131本目】アイアンマン2(2010年・米)

 あー手塚秀彰さんのフューリー長官吹替格好良すぎる……竹中さんが悪いわけではないけど……


【感想】

 アイアンマンシリーズ第2作にして、MCUシリーズの3作目にあたる映画です。

 前作以上の興行収入を出し、公開週末での興行収入記録は歴代5位という好成績をたたき出したうえに、前作に同じくアカデミー賞の視覚効果部門にもノミネートされています。


 前作【アイアンマン】のラストでフューリー長官はトニーに【自分だけがヒーローと思うか? 君はより大きな世界の一部になっただけだ】という言葉を放ちますが、前作がトニー・スターク個人にスポットを当てた物語だとしたら、今作はトニーと彼を取り囲む社会、組織を扱った物語だといえます。

 いわば彼が【自分だけが特別な存在じゃない】ということを知る物語というか。


 前作でもトニーはロディーやペッパーの助けを借りることはありましたけど、彼らはあくまでトニー・スタークという特異な存在を支える一般人の代表にすぎませんでした。

 それに対して今作でトニーはフューリー長官や、ブラックウィドウ(この当時はちょっと性格キツめ……)など、自分と同じ世界の平和を守る戦士の助けを借りて作中のイベントを解決しています。

 また自力で兵器を作って襲撃してくる今作のヴィラン、ヴァンコは、トニーみたいな天才発明家が彼だけじゃない、ということを示す存在でした。

 またヴァンコが父親世代の因縁を理由に襲撃する展開やトニーが父親・ハワードの遺した映像を基に新しい発明をする展開は、トニーが唯一無二ではなくスターク家の人間の一人、ということを強調するものだったといえます。

 今作でペッパーとやっと恋仲になったのも、【他の人と同じように、一人だけでは生きていけない彼】ということを描写する意図があったからのように思えます。


 【あの盾】や【あのハンマー】などが出てきたりしたことからもわかりますが、アイアンマン及びトニー・スタークが【複数いるヒーローの一人】【複数いる天才発明家の一人】に過ぎないことを示唆した【アイアンマン2】は、単体ヒーロー映画ながら、MCU的な世界観の広がりを、本格的に仄めかしてきた映画ともいえるかもしれません。

(MCUがここんところをじっくりやってるからこそ、【マン・オブ・スティール】からいきなり【バットマンvsスーパーマン】に走った初期DCEUの悪手っぷりが際立つw)


 他、近年【スリー・ビルボード】や【ジョジョ・ラビット】や【リチャード・ジュエル】などで名脇役としての活躍が目立つサム・ロックウェルが、狡いけど憎めない悪役を演じているところも見どころです。


【好きなシーン】

 序盤のスタークエキスポ開会式のシーンがスター感MAXって感じでトニーらしさ全開で好きです。テロ組織の拘束という苦境からスタートする前作と違って、皆の憧れる大スターの華々しい登場!!って感じ。

 破天荒で目立ちたがり屋、というトニーの性格があのシーン一つでわかるのも、前作を見ていない人などに優しい造りですね。


 あと細かいですけど、生きるか死ぬかの境目にある状況下で披露されるトニーとイチゴの露店販売のおじさんとのユーモアたっぷりな会話が大好きです。

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