第44話 想いは…④

 「お姉ちゃん。佐阿さんと何があったのか言いたくないなら話さなくてもいいけど、佐阿さんは絶対にお姉ちゃんの事を想っているんだよ。それだけは覚えておいて」


 憲はそれ以上は話さなかった。

 これ以上は自分の言葉でお姉ちゃんの事を救う事は出来ない。救う事が出来るとすれば、やっぱり佐阿さんしかいないと。


 「…………」


 俯くお姉ちゃん。

 下から覗き込むようにしてお姉ちゃんの顔を見た。


 お姉ちゃんは泣いていた。

 

 「……私が…佐阿くんに…悪い事を…」


 「お姉ちゃん!」


 少し大きな声を出した。


 「何が会ったかはお姉ちゃんが言ってくれないから僕には分からない。それでも、もし、お姉ちゃんが佐阿さんに何か悪い事をしてしまったのなら、謝ればいいと思うよ。佐阿さんならお姉ちゃんの事なんでも許してくれると思うから」


 

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