第34話 後悔②
それから数日が経った。
毎日西川さんの病室に通った。けれども西川さんが記憶を取り戻す事はなかった。
そして、今日は退院だ。
体に異常はないし、日常的なものの記憶はあるので家で様子を見る事になったのである。
西川さんが退院したその日の夕方。憲から相談があるといつもの公園に来て欲しいと言われて公園へと向かった。
公園に着くと憲は既にベンチに座って待っていた。
「これ、買ったのでどうぞ」
憲が缶コーヒーを俺に手渡した。
「ありがとう。それで相談っていうのはやっぱり、西川さんの事か?」
「はい。そうなんです。実は…」
憲の相談はこのままの方がいいのか?だった。
その言葉の意味は家での西川さんと母親が関係している。
西川さんが記憶をなくした事によって前までとは違い母親ともよく話すようになり、母親も西川さんの事をちゃんと娘として見ている。前までにしたらありえない程に仲睦まじい光景。
「僕にしてはその光景は望んでいた光景ですが、何か違うんです。まるで、その…別の人みたいな。そんな気がしてたまらないんです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます