第20話 マローネからの手紙
「リディア、ほらお手紙だよ」
あのお茶会以降、正式な婚約者となったマローネは手紙を書いてくるようなった。
手紙は、はじめましてから始まり、季節の話題や、好きなものなどが書かれている。最近では、会ってみたいと書かれるようになったのだが、その度に俺は、お断りの手紙を書いている。最初は無視しようと思ったのだが、父にどうしても書いてと言われた為、仕方なく、スマホがある現代では考えられないような文通をしている。
「ガウッ!」
「あ、こらシュヴァ!破こうとするな!
ん?これ、リディア宛じゃなくて、俺宛だな?」
シュヴァの口から奪還した手紙は、やはりマローネからだったのだが、婚約者であるリディアではなく、俺宛だった。
そんなに仲良くもないし、初めてだ。
『ヴァイス様
お茶会の時会ったマローネです。
この度、君の姉と婚約者になりました。
しかし、文通のみで本人とはあった事もありません
僕としては、婚約者にあってみたいので、
リディア様と3人でどこかに行きませんか?
どうか連れてきてください。
マローネより』
要約するとこのようなことが書かれている。つまりピクニックに行こうって事か?
無理。
俺分身とかできないし、何度考えても無理に決まっている。こ、困った。断ってもいいのだが、雰囲気悪くなりそうだよな。あっちからしたら急に婚約者とか言われたのに、相手は知らないどころか、門前払いレベルで会ってくれない。そんな嫌な婚約者にめげず弟と思われる俺に連絡してみたら、こっちもNOとなれば誰だって嫌だろう。ってか俺弟設定なのか。
そもそも父が勝手に決めるからこんなめんどくさい事に。どうしたものか…ん?リディアってほぼ誰にも知られてないよな?
屋敷のメイドや執事は俺が男の格好をして、生きていく際に、全て交換したので、誰もリディアを知らず、俺はシュヴァと2人でご飯を部屋で食べているので、謎な姫やら魔物に魅入られた双子やらの愛称がついているくらいで、新しいメイド達にも、真相は闇とされている。
ちなみに街では、ブサイク説と魔物に魅入られすぎて病になっている説の2つで別れているらしい。つまり、新しくこれがリディアだよっと言われても誰にもわからないと言う事だ。
「よし!シュヴァ行くぞ!」
「がルルル?」
俺は、おなじみとなったフードをかぶり、ヴァイスにしばらく影と化しててと声をかけるとある場所へ向かって走り出した。
年齢は多少違うのだが、あの子ならきっと大丈夫だろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます