第19話

「永遠の命が欲しい」

「あの人を生き返らせて」

苦しい願いはひとつふたつと増えていく


完熟した果実が溶けはじめるように

咲き誇る文明は

苦しい願いにおかされていく


祈りを捧げる人々は

願ってはいけないとうたった

付け足され削られ

ねじ曲げられてうたは届く


いわく

祈り捧げる人々は

不死なる者で

生き返りの為に祈り

祈る土地は甦らせる

のだと


そしてはじけた


静かに祈ることを許されず

人々は甦りの法はなんだと問われ

答えられず赤く染まる


そしてよみがえる


祈りの土地は赤く染まり

染まったままの芽がでた

苦しい願いを行う人は狂い

赤い芽を摘んだ


そしてのまれる


赤い芽の根は手で

赤い芽の根は足で

赤い芽の根は頭で

芽を摘んだ人を喰った


そしてしげる


芽を摘めば花にされ

花を折れば木にされ

木を切れば種にされ

繰り返されるそれに

人は次々と消えて

祈る土地は呪いの土地に変わった


そしてひろがる


呪いの土地は

赤い植物が目印になり

ひろがり森となり

人は恐れた


そしてうまれた


やがて森は不可思議な生き物をうんだ

それは生き物と言って良いのか

それは不可思議と言って良いのか

それは大きく

それは醜く

それは強かった


そして立ち向かう


人は恐れを知りながら

不可思議な生き物に対峙する

不可思議な生き物と相討ちにならなかった


そして絶望をしる


戦いがはじまる

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