ヘンテコ人間、現る―(3/9)


「えー……中宮先生は先ほど退職されました。代理の先生がいらっしゃるまで静かにしているように」


ホントに退職しちゃった☆

中宮っていう名前だったんだ。


「よぉ~し!! 暇だから自己紹介の続きしようぜぇい!!」


あなた、罪悪感ゼロですね。


「じゃあ次はブタ子!!!!」


「富士子よっ!!!!」


ブタ子さん……いや富士子さん、ホントに痩せましたね。

マジで峰不二子に似てきましたよ。


「あたしはグラマー・富士子・オクターブ。見ればわかると思うけど、リアル不二子ちゃんだから」


ごめん、ちょっと引いた。


「はぁぁ!? お前が不二子ちゃんなわけあるかぁぁぁ!!!!!!」


「アンタ目玉ほじくるわよ!!!!」


真っ黒クロスケ。


「不二子ちゃんはな!! ボンキュッボンなんだよ!! お前はボンボンボンだろっ!!!!」


「あたし金持ちじゃないわ!!!!」


現実逃避ですね、はい。


「俺は金持ちだぁ!!!!!!」


へぇ、そうなんだ。


「じゃあ後でジュース買ってね」


「オッケー」


なんだこいつら。


「あと、そのモミアゲも刈ってね」


「ハァァァァァァ!?!?!?」


また喧嘩に……。


「マジきもい。その顔でルパンの真似とかマジきもい。モミアゲ刈るか首吊って」


この子怖いな。

っていうか、モミアゲさんよく見ると結構キムタク。

あ、キムタクに似てるってことじゃなくて、整った顔ってこと。

まあ、ずっと変顔してるけど。


「テメェが言うなぁぁぁ!!!!!!」


あっ!!

またマッチに火を!!


「あ、中庭に今田耕司がいるわ!!」


「イエス!? マジかどこだ!?」


「バカは見るぅぅ~!!!!」


あ。


ジョリジョリジョリジョリジョリジョリ……。


「ぬおぉぉおぉぉっ!!!! 俺様のモミアゲがぁぁぁぁ!!!!」


あ、やっちまったな~!


「思い知ったかこのカス!!!!」


「ぅわぁぁぁあぁぁあぁん!!!!」


な、泣き出した!?


「ぶぇぇぇぇんっ!!!!!! ぶわぁぁぁぁぁん!!!!!!!!」


変な泣き方……。


「また伸びたら刈ってあげるわ」


やめてあげて。


「うえぇぇぇぇぇぇん!!!!!!」


「びぃえぇぇええぇぇぇん!!!!」


「びぃぃぃぃぃぃぃん!!!!!!」


「ばわぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!」


「ぐおぉぉおぉぉぉぉん!!!!!!」



「ギャオォォオォォォォォォォォォォォォオォォォォォォォォォォォォォォォォオオォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


∑獣化!?!?!?


「ギャオォォォォオオオォォォォォォン!!!!!!」


なになに何が起こんの!?

カリオスさんの全身が光ってる!?

っていうか燃えてる!?


「ブルァァァァァアァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」


「ちょ、ちょっと熱い!!」


あ、富士子さんがまた細く……。


「ンバァァアァァァ!!!! ギィヤァァアァァァ!!!!!! アブロォォオォォォォッ!!!!!!!!」



「――カリオス今田が、カリオストロ今田に進化した」


なんでやねん!!!!


進化!?


なんですかそれ!?


「あんたホゲモン?」


富士子さん、それを言うならポケモンです。


「カリオストロ今田……僕の知らない間にそんなポケモンが……」


だぶ男さんがなんか呟いてる。


そんなポケモンいないし。


っていうか金髪なのに一人称〝僕〟なんだ。


「ホゲェェェェ!!!! ホゲェェェエェェ!!!!!!」


ホゲモンに反応してるぞ!!


「モミアゲなくなると本格的におかしくなるのね、さすがカス」


何がさすがなんだ。


「おいブタ子!! いやナルシストのミニ不二子!! 俺のモミアゲを返せぇぇぇ!!!!」


スレンダーになった富士子さん見て呼び名を変えたな。

っていうかヤベェ、どうしよう。

富士子さん本当に峰不二子になっちゃった。

目の前にあの不二子ちゃんがいるよ。


「いいわよ。じゃあとりあえず、約束のジュースを買ってきてちょうだい。3秒で」


不二子ちゃんだ。


「かしこまりました!!」


かしこまったし。


「──買ってきました!!」


うん、たまにいるよね、こういう俊足。


「あら、早いのね、ありがとう。……ゴクゴクゴク、プハ~」


おっさんかよ。

……ん?

あれ?

不二子ちゃん、ちょっと大きくなった?


「まだ足りないわ。もっと大量に買ってきて!」


「かしこまりました!」


……もしかして。


「──買ってきました!!」


……富士子さんは。


「ありがと。ゴクゴクゴクプハ~」


……水太りする体質なんじゃ。


「あらやだ、またグラマラス度が増したわ」


言葉濁したし!!

完全な水太りじゃん!!

お腹ぼよんぼよんいってますよ!!


「で、モミアゲは!?」


「今あげるわ」


あげる?

富士子さん、ガムテープで床をペタペタし始めました。

そして、床に散らばったゴミや髪の毛がついたそのテープを、カスさんの顔に…………ペタ。


「これでいいでしょ? カスにはピッタリだわ」


よくねぇ!!

あなたやること酷いよっ!!


「んがぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!!!」


ほら、怒り出した。


「こぉぉぉぉんのブタ子ナルシストォォォォ!!!! 誰がカスだぁぁぁぁぁ!!!!!!」


そっちかよ!


「カリオス今田だからカスでいいでしょ!!」


「あ、ならいいや」


え、納得した!?


「それより!! あたしをブタ子って呼ぶな!!」


「じゃあナルシストのナルシーでいいだろうが!!」


「あ、それならいいわ」


いいんかい!!


「じゃあそろそろ自己紹介の続きやろうぜ」


「そうね」



なんなんだこの二人……。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る