出会い
中学校の卒業を前にしたとき、君たちは何を考えた?
高校に行き、春を迎えた幸せな生活を思い浮かべただろうか?彼氏彼女と出かけまくる日々、友達と渋谷に行ったり、何気ない登下校を繰り返す日々の想像に胸を躍らせただろうか?
否…そこにあったのは俺にとって終わりのない、創造の日々であった…。
行列のできるラーメン店、
「久しぶりやね。僕は古賀
そういって差し伸べられたのは古賀さんの大きな
「はい!急にご連絡してしまってすみません。少し気が
古賀さんの言葉にも見受けられるが、今は3月。具体的には桜が咲くか咲かないかぐらいのころで…。
「こうして一人の人間同士お話するのは初めてやね」
「いつもは常連と行きつけのお店の店長さん、という関係でしたから」
「そうやね」
苦笑する僕に、微笑みを浮かべ首肯する古賀さん。
「本題に入ろか。履歴書には…都立高校に入る、と書いてあったんやけど許可のほうはどうするん?都立やと普通に親御さんとか学校側の承諾が必要やけん」
「いえ、まだ正式入学は4月入ってからなので…学校には許可をもらってくるので、詳しくはLIN〇(誤字じゃないよ。みんな知ってる緑色と吹き出しのアプリ)で後日ご連絡させてください。」
「了解、じゃあ次行くよ。
「俺は、このお店に憧れ続けてきました。俺が
古賀さんはうなずきつつ、俺の目を見つめ話を聞いてくれている。
「だからこそ、俺はあの浅草店を、僕の憧れを、このお店に訪れた一人一人に伝えたいんです。」
そして古賀さんは口を開いた。
「そうやね。ただ、すべての人に100%のものが出せるということは、ざんねんやけど、ないね。マザーテレサの言葉も同じようなことを言っとるんやけど、僕は出会った人が全員、お客さんや従業員関係なく、お店のドアを引いて出るときに最高の気分になれるように、来た時よりもいい気分で出れるように努力しとる。それでも、かなわないことがあるけん。そのかなわない、ままならないことをいかに減らすか、それは僕の両の肩にかかっとる。でも、歩がこのお店に仮に入ってくれたら、歩がこの店を去る時まで、僕は必ず同じ努力をし続ける。お前をいっぱしの人間にするけん、ついてこい。」
「はい、必ず、必ず…!」
気づけば古賀さんの言葉に、目頭が熱くなっていた。俺は、この人についていこうと己に誓った。
「よろしくお願いします。俺を、いっぱしの人間に、この店の店主に、育ててください。俺の師匠に!なってください…っ!」
「うん。ええよ。んじゃまずは来週、アルバイトの登録をやるけん事務所まで来て。よろしくな、歩」
そういって再び俺は古賀さんと握手をした。二度目の握手は、さっきよりももっと熱を帯びていて…俺の交わしてきたものの中で一番情熱に満ちていて…。
ここに、俺にとっての初めての師弟関係が結ばれた。これは、古賀正義という師との邂逅だったのだ。
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