白い日々

真っ白な街


空は真っ白

壁も真っ白

息も真っ白


やがて真っ白な空が千切れて

真っ白な雪が落ちてくるだろう


かつて懐かしい日に こんな白い街を

見たことがあったような気がする

手のひらにはぬくもりを感じて

洗濯物がぶら下がる部屋の窓から

外が白い 白いと

騒いで飛び跳ねた そんな日があった


それから

かっちりと冷たい制服を身にまとって

あの洗濯物の部屋に 帰ろうとバスを待つ

あの寂しい日にも 見た

手のひらに温もりはなく

規則でむき出しになった脚に

冬の凍てつく風がふきつける

まるで白い街に飲み込まれそうだった

それでも目の前を横切った風花に

冷えきった心は

少し温められたような気がした

そんな 若いあの日


白い家電 白い猫 白い部屋

あの日々と同じ 白い街

私の何が変わったのだろう

洗濯物の部屋は 土に埋もれてしまった

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