人気投票優勝記念SS
一人遊園地をキメる奴はガチ勢しかいにゃい(偏見)
ー六月某日日曜日 (晴)ー
【AM 8時】
「やって来たにゃー!! ピギョっとランド!」
今日はようやく中間テストが終わったから、自分へのご褒美ってことで『ピギョっとランド』へ遊びに来たにゃ!!
にゃっふふ〜♪
今回はテストの成績も結構良い感じだったし、思いっきり楽しんじゃうつもりだから一人で来たんだに!
一人遊園地とか寂し過ぎって思う人もいるかもしれにゃいけど、そうでもにゃい。
ニャアくらい通ににゃれば、一人遊園地にゃんてにゃんのその。むしろ一人じゃにゃいと自由に回れにゃいから辛いくらいにゃ!
さてさて、今日はどういう順番で何を乗ろうかにゃ? とりあえず優先パスを取るのは基本だよね!
一秒でも長くピギョっとランド、略して
えっ、そんにゃに好きにゃら年パスくらい持ってるだろって? 嫌だにゃ〜年パスは高過ぎて学生じゃ手が出せにゃいに。
とまあそんにゃ訳で、開演一時間前に来たニャアだけど、さすが大人気の遊園地! チケット売り場は既に多くの人で賑わっていて、ちょっとした出遅れ感がニャアを襲う。
「やばば! 急がにゃいとアトラクションに一番乗りできにゃくにゃっちゃうにゃ!」
チケット売り場へと猛ダッシュ。人混みがだんだんと近づいていく。
そこに——
「ごめんネェ、俺はァ きゃすと じゃあないんだヨォ?」
たった今通り過ぎた一つの集団から、聞き覚えしかにゃい声をキャッチした。
「にゃにあれ」
一目で旅行客と分かる格好の集団。
彼らは興奮気味に「ダイジョウブデス〜」「こっちに視線お願いします!」にゃんて言いにゃがら、カメラで撮影しているようだった。
……ふむ。にゃるほど。
有名人でも来ているのかにゃ?
一瞬にゃんか保健室でゴロゴロしてる人かと思ったけど、気のせいにゃ。
うん、関わらんとこ。
そう思って、ニャアはチケット売り場へ急ごうとしたその時——
「あれェ〜まおサンじゃなあい? ちょっと待ってヨォ」
集団の中心にいたくせに、目敏く見つかってしまったみたいにゃ。
ぐぬぬ、無視して良いかに?
「えェ、そんなコト言わないで欲しいなァ?」
「その前に心読むのやめてください」
逃げたら余計面倒くさい気配を察知して、渋々ヒサメの所へ向かう。
そもそもあのヒサメがにゃんでこんにゃ所にいるのかにゃ? しかも旅行客に囲まれて何しているのかにゃ!?
「なんかネェ、普通に歩いていたら撮影良いですかってェ囲まれちゃったァ」
大の大人が「ちゃった」とか言っても可愛くにゃいにゃ。やり直し。
痛いほど突き刺さる「誰だい? 彼女は……」という観光客達の視線の中、ニャアはヒサメをジーっと見た。
「にゃんで遊園地に来てまで着物にゃのかにゃ?」
「俺にとってはコレが一番動きやすくてネェ」
ピギョっとランドには和風をテーマにした【フジ・サムライパーク】があって、そこのキャストは皆着物を着ている。
そして遊園地に遊びにくる人は普通着物とか着にゃいから、そりゃあキャストと間違われる訳にゃ。
ニャアが事の顛末を、勝手に推理して勝手に納得していると、
「ごめんネェ〜俺はこの子と一緒に行くからサ」
突然腕をヒサメに掴まれた。
「Oh デートかい?」
「可愛らしい子猫じゃないか!」
アメリカンにゃノリで盛り上がる集団。
でも待って欲しい。ニャアはヒサメと一緒に行くにゃんて言ってにゃい。
……え、何々?
『キャストの誤解はすぐに解けたけど、妙に気に入られちゃって一緒に回ろうと勧誘されていた?』
そんにゃんわざとらしく説明されても知らんがにゃ! ガチムチと行ってろ!!
偶々見つかってしまったばかりに、ニャアの楽しい一人Pの国を邪魔されてたまるか。
断るつもりでニャアが口を開こうと……
「入園代、中での飲食代全部俺持ち」
ボソッと囁かれた一言に、あっさり掌を返した。
「Yes! ニャアはこいつとデートです!」
「そうなのか……そいつは邪魔できねぇな」
「HAHAHA! お邪魔虫はさっさと退散するか!」
「じゃあなヒサメ! 応援してるぜ」
キラッと歯を輝かせにゃがら、サムズアップと共に立ち去る旅行客達。
「あははッ、助かったヨォ。こんな所で会うなんてェ、奇遇だネェ?」
「ソウデスネ……っていうか、にゃんでいるんですか? 妹さんと一緒じゃにゃいんですか!?」
それは妹命過ぎて毎日定時に絶対帰るマンが、休日に一人でいたら当然湧く疑問だった。
しかもここは遊園地だし、一体どんにゃ事情があって?
「あぁ、ウン。それはネェ……」
ゴクリ。
「
……にゃんだ。特に面白味のにゃい答えだったに。いや、何を期待していたのか聞かれると困っちゃうんだけどさ。
「それにゃら、家で待ってれば良いじゃにゃいですか。一人で来るにゃんて寂しくにゃい?」
「今日までの期間限定ぐっずを買いにネェ。それに一人はァ、まおサンもそうじゃなあい?」
「ニャアは一人Pの国が楽しめるピギョ教徒ですにゃ?」
ニャアが胸を張って言い切ると、何故かヒサメにドン引きされた。
解せぬ。
「そもそもォ、ぴぎょとか言うのがよく分からないよネェ。藜が好きだから偶に来るけど」
「えっ、それガチで言ってますにゃ??」
ピギョっとランドまで来て、ピギョが分からにゃい?
信じられにゃいヒサメの発言に、ニャアは珍獣でも見るようにゃ顔ににゃっただろうね。
そしてピギョについて熱く語ることを決意する。
ニャアのピギョ愛を伝えたいのが半分、興味がにゃいだろう話を延々と聞かせるという嫌がらせ半分。
チケット売り場の列へと向かいにゃがら、ニャアは口を開く。
「では説明しよう! ピギョというのは……」
それから暫く、ニャアはピギョっとランドとそのマスコットキャラクター、ピギョなる生き物について説明した。
①ピギョとは黒猫にコウモリの羽が生えたような動物である事。
②ピギョは様々な世界を渡れる能力がある事。
③ピギョっとランドとは、そのピギョが渡った各世界を一つのエリアとして見立てている事。
④アトラクションは全て、ピギョがその世界で見たり体験したりした事をモチーフにしている事。
⑤園内には様々な場所に隠れピギョがいて、それを探すのも一つの楽しみである事。
にゃど、にゃど……
「分かったかにゃ?」
「分かった分かった」
話している内にチケットを買う列は、すっかり進みきりニャア達の番ににゃっていた。
一人だと長く感じる待ち時間も、話していたらあっという間だった。
「説明ありがとうネェ、まおサン」
「別に良いにゃ! これでヒサメんもピギョ教徒ににゃってくれると嬉しいし?」
「それはさて置き」
「置かにゃいで欲しいんだが?」
ヒサメは懐から財布を取り出すと、二人分のチケットを購入し一枚ニャアに差し出す。
「藜に頼まれてネェ、何箇所か回らなきゃいけないんだけどさァ……」
「ニャアに案内しろと?」
「あったりィ☆ えすこぉとしてヨォ、まおサン」
胡散臭い笑顔のヒサメに、目の前でチケットをヒラヒラされる。
腕時計をチラッと確認すれば今は開園五分前。
面倒だからって、今更並び直してチケット買うのは時間もお金も勿体にゃい。
「はぁ……」
不本意でしかにゃいけれど、ヒサメに見つかってしまったのが運の尽きってやつにゃ。
せっかくお財布ににゃってくれるって言うし、楽しまにゃきゃ損にゃのかに?
「分かったにゃ! このマオちゃんがヒサメんをエスコートしようじゃにゃいか!」
でも高くつくからね! と、最後に付け足してニャアはヒサメを連れてゲートへと走る。
ピギョの国は夢の国だけど、アトラクションに乗るのは戦争にゃ。
ヒサメの行きたい所にも勿論行くけれど、ニャアが乗りたいアトラクションは絶対に乗る!
開演一番の優先パス獲得ダッシュは、ヒサメにも付き合ってもらうにゃ。
果たして着物で走れるのかにゃ? にゃんて気遣いはしにゃい。そんにゃ舐めた格好で来たのが悪い。
腹いせに絶対振り回してやると、ニャアは密かに決める。
『スリー・トゥー・ワン!』
カウントダウンのアニャウンスが入り、ニャアはヒサメの手を掴んだ。
「走れにゃいってのは禁句だから!」
こうして、ニャアとヒサメのピギョっとランドデートが幕を開けたのだった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます