正直この学校は顔で選んだと言っても過言じゃにゃい
「……お前たち、席につけ。HRを始める」
午後の授業もあっという間に終わってしまい、気がつけば帰りのホームルームににゃっていた。
ガラッと教室に入ってきたのは長身イケメンのソルディオ・ルーシア先生。
紫紺のショートヘアに前髪の一房だけがメッシュのように白くなっていて、深海を思わせる蒼い瞳を理知的な黒縁眼鏡が飾るイケメン先生。
ニャアたちの担任の先生で、授業では第二外国語の必修科目である日本語を担当しているんだにゃ。
とにかく一言で言うにゃら顔が良くて、にゃんメモ界で一番の公式イケメン!!
つまりジッと数秒見つめられたら、老若男女問わず誰しもが惚れてしまうようにゃ、トップ of イケメンにゃんだに!!
……あれ、今イケメンって何回言ったかにゃ? ちょっと美丈夫とかに表現変えて方が良い頃かに?
「……連絡事項は以上だ。来月に控えた中間試験だが……」
イケメンについて考えている隙に、ホームルームはどんどん進められていった。
ソルディオ先生は今日も兎に角かっこいいにゃ〜!
ホームルームを淡々と進める先生に、ニャアは思わず見惚れてため息が出た。
この先生、とってもイケメンにゃんだけど表情筋があまり動かにゃい人で、実は最初は皆に冷たそうとか怖いとか言われていたんだに。
でも気がつけば生徒の大半は先生のファン!
それは先生の人柄によるところも大きい思うけど、人に好かれるフェロモン的にゃのが出ているに違いにゃいとニャアは思っている。
そういうニャアも、ソルディオ先生の大ファンにゃんだけどね!
ここで一つ、先生のモテエピソードを投下するにゃ。
毎日手作りのお菓子とか弁当とか贈るのは当たり前、にゃんにゃら車や別荘まで贈りだす生徒も出てきて大騒ぎに発展した事件が起きていたらしい! これだから貴族の学校はっ!!
そんにゃもんだから、今では贈り物は食べ物だけというルールが敷かれている。
食べ物なら全て責任を持って食べられるしな、って高級タラバガニを抱えた先生が言っていた。
おのれ、金持ちどもめ! 別荘禁止されたからって高級食材で攻めるにゃんて!!
とりあえずお金がそんにゃににゃいニャアは、毎日ニャロルチョコを貢いでいる。
一粒90円。ビバ☆リーズニャブル!
「……で終わりだ。部活に行く奴らは……」
はぁ〜顔が良い。顔が良い!
目の保養にゃ〜むふふふふ。
いつも以上に寝たせいか、ニャアは今ふわふわした気分だに。
思えばソルディオ先生に対しては、特別にゃ思い入れがあって、ニャアがこの学園に通うことを決めた理由が、まさに先生にあるんだにゃ。
── あれは、去年の夏のこと。
高校受験の時期に、どの学校を受けようかにゃ〜と学校紹介のパンフレットを漁っていたんだにゃ。
ニャアはどこに行きたいとかもにゃく、だらだらと色んにゃ学校のパンフレットを眺めていた。
そんにゃ時だったにゃ。
授業風景の写真に写るソルディオ先生に一目惚れしてしまったのは!
その凛とした表情に、均整のとれた体。
鮮やかな紫の髪に、深く美しい蒼の瞳。
「イケメン過ぎるにゃ!!」
と、その場でニャアは志望校を決定した──
「……そうか、ありがとう」
「みゃっ!?」
ニャアが思い出に浸っている間に、先生が目の前に立っていた。
ホームルームは既に終わっていて、教室に生徒はほとんど残っていにゃい。
にゃんにゃらエルラルすらもういにゃい。
多分皆部活とかに行ったんだろう……
「今声に出てましたにゃ?」
「ああ……」
「ア"ア"ァ"ァ"ア"」
まさか声に出てたにゃんて、これは頭を抱えるしかにゃい!
イケメンにイケメンって言うのは良いけれど、独り言は聞かれたら恥ずかしいにゃ!!
「……オレに見惚れるは自由だが、ホームルームは聞いてもらわないと困るな」
オレに見惚れるとか、自分で言っちゃうところ素敵です!
「うぅ、ごめんにゃさい」
「本当に聞いてなかったか……」
「カマをかけたんですにゃ!?」
ニャアが抗議の声を上げると、ソルディオ先生はニャアの頭をポンポンと叩いた。
「……今日の話で大事なのは中間試験についてだ。プリントにしっかり目を通せ……次はないぞ」
それだけ言い残し、先生は教室を出て行く。
「はにゃ〜!! 先生に頭を撫でられたにゃあー!!」
この後、ニャアは喜びに悶えたのは言うまでもにゃい。
推しが今日も尊いにゃ……
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