第41話【五日目】

インク塗れの顔を洗って朝食を取るピーマン。


「え、 ピーマン様?」


驚いた顔をするカラシナ。


「如何した? カラシナ?」

「フィッシュ帝国との会談に向かっていた筈では?」

「それはパプリカに任せただろう、 昨日、 君も言っていた筈だ」

「・・・・・そ、 そうでしたね・・・すみません・・・」


俯くカラシナ。


「如何した?」

「い、 いえ・・・何でもありません」

「そうか・・・」


朝食を取るカラシナ。


「あー・・・カラシナ」

「は、 はい!! 何でしょう!!」

「今日の君はちょっと可笑しい、 一回医者に診て貰わないか?」


健康診断を受けているが健康診断から病気に罹った可能性も捨てきれないので

医者に診て貰う事を提案するピーマン。


「え・・・は、 はい・・・」


カラシナは驚いた顔をしたがすんなりと受け入れてピーマンと共に医者に診て貰った。

王室かかりつけの医者は微笑んでこう言った。


「おめでとうございます」

「ん? どういう事だ?」

「おめでたです」

「おめでた・・・?」


首を傾げるピーマン、 しかしその意味が直ぐに分かった。


「と言う事は妊娠か!? 世継ぎが生まれたと言う事か!?」

「懐妊したと言う事で生まれた訳じゃないです」

「・・・・・? 生まれた訳じゃない?」

「え、 えぇ・・・妊娠しているだけです」

「そうか!! カラシナ!! でかした!!」


カラシナの方を向くとカラシナが何とも言えない表情をしている

ショックを受けているのだろうか、 呆然としている表情

決して喜んでいる表情には見えなかった。


「如何した?」

「い、 いえ・・・突然の出来事に面食らっておりました」

「そうか!! 今日はお祝いにしよう!! そうだ!! 父上にも報告しなければ!!」

「殿下、 陛下は御公務で城を出ています」

「なんだ・・・じゃあパプリカに・・・」

「パプリカ殿下もフィッシュ帝国との会談に・・・」

「・・・・・なんだ、 つまらん・・・じゃあ今日はゆっくり休もうじゃないか」

「そ・・・そうですね・・・」


カラシナは何とも言えない表情のまま屋敷に戻った。

その後、 屋敷の使用人達を集めてカラシナの妊娠を発表した。


「おめでとうございます殿下」

「おめでとうございます」

「カラシナ様、 おめでとうございます」

「何というか反応が薄いなお前達、 まぁ良いや

懐妊記念にパーティを・・・いや、 妊婦だから派手な事は慎んだ方が良いのか?」

「それが良いかと思います」

「そうだな!!」

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