最終章 ラスト・ワン

第36話【最後の一回】

何も無い空間にやって来たピーマン。

周囲を見渡すとボロボロになって倒れる神様。


「ど、 如何したんですか!?」


ピーマンが慌てて駆け寄る。


「やられたよ・・・消費者庁の連中にな・・・」

「そ・・・・・そんな・・・」

「お前のやり直し・・・次の一回で最後と言う事になった」

「そんな!!」

「ままならねぇよなぁ・・・お前の様な金だけのボンボンから絞れ取れぇなんて・・・」


天を仰ぎ見る神様。


「金・・・ですか?」

「そりゃあそうさ、 地獄の沙汰も金次第と言うだろう?

兎にも角にも次の一回がラストチャンスだ

次の一回でそのまま貫き通すか、 それともカラシナが居ない世界に戻るのか

好きに選べ」

「・・・・・・・」

「次の一回はセレクトガチャか?」

「えぇ・・・」

「今回はどの時間にする?」

「・・・・・・・」


ピーマンは考えた・・・

色々な時間が有るが

ミンチは悪い奴じゃなく、 色々と世話を焼いていた・・・

ならば今回も学院に入学する時の時間に戻すか?

いや婚約破棄の時に色々問題が起こるかもしれない・・・

最後の一回だ、 何が起こるか分からない・・・ここは・・・


「一週間前に戻してください」


一週間前、 これは巻き戻し出来る時間の中でも最新の時間だ。

この時間では特に目立った問題事は起こっていない。

カラシナの死を除いては・・・


「本当にそれで良いんだな?」

「えぇ・・・覚悟を決めました」

「分かった、 戻すぞ」


ピーマンの意識が遠ざかった。

こうしてピーマンの最後のやり直しが今、 始まる。




「・・・行ったか」


ピーマンを送り出した神様。


「神よ、 今回は特別に目を瞑ろう」


消費者庁の使者が神様の後ろに現れる。


「へっ・・・お優しい事だな」


座りながら首だけで後ろを見る神様。


「彼にも真実を知るチャンスは有っていい筈だ」

「それもそうだが、 私はやり方を変えるつもりは無いぞ」

「結構、 私は何度でも貴方を止める」

「そうか」


神様が立ち上がる。


「何れにせよ、 あの小僧が現実か、 愛の何方を選ぶか

楽しみだ、 何方を選んでも私には損はないしな」

「この悪徳運営神が」

「何とでも言え、 私が神でありルールだ」

「・・・・・」


歯軋りをして去る、 消費者庁の使者。


「ふん・・・さぁピーマンよ、 お前の選択を見せるが良い!!」

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