第26話【王との謁見】

三年生の頃に戻って来たピーマン。


「さて・・・ミンチがいじめたから婚約破棄をする

と言う流れで大丈夫だろう」


卒業一年前のこのタイミングなら婚約破棄に丁度良いと判断したピーマンは

早速、 父のナス王に婚約破棄の打診を行った。

するとピーマンはナスに呼び出された。

ピーマンは面倒だなぁと思いながらも王城へと向かったのだった。


謁見の間に通されたピーマンはナスの前で跪いた。


「第一王子ピーマン参りました」

「うむ、 何故呼ばれたか分かるか?」

「はいミンチ侯爵令嬢との婚約破棄についてですね」

「その通りだ、 貴様はミンチ侯爵令嬢がカラシナ男爵令嬢をいじめたから婚約破棄をしたい

そう言ったな」

「その通りです」

「で?」

「・・・・・で?」

「何で婚約破棄をしたいんだ?」

「・・・・・え?」


戸惑いながら顔を上げるピーマン。


「カラシナ男爵令嬢がいじめられて、 何故それが婚約破棄に繋がるのだ?」

「それは・・・いじめは良くないでしょう?

カラシナ男爵令嬢が平民上がりだから差別するんですか?」

「何? 平民上がりだと? それなら尚更何故問題になるのだ?」

「いじめは問題でしょう」

「それはそうだな、 立場が同じなら」

「立場が同じなら?」

「そうだ、 ミンチ侯爵令嬢とその何とか男爵令嬢とは圧倒的に身分に開きがある

平民上がりならば尚更だ、 にも拘わらずいじめられた?

だから如何したと言う話だ」

「なっ!?」

「そもそもいじめた証拠は有るのか?」

「証拠ならば証言が有ります」

「証言が有ります? ならば『ミンチ侯爵令嬢はいじめをしていない』と

ここで私が証言しようじゃないか」

「父上? 何を言っているのですか?」

「証拠無しに証言で人を貶めると言うのならば

証拠無しの証言で人を助けるのも有りだろう

一体何を考えているのか分からないがこんな理由で婚約破棄出来るか馬鹿め」

「くっ・・・」


歯がみをするピーマン。


「では、 では証拠が有れば婚約破棄が出来るのですね?」

「いじめは立証出来る、 だがそれが原因で婚約破棄は出来ないな」

「くっ・・・ならどうすれば婚約破棄が出来るのですか!?」

「お前は何故婚約破棄に拘るのだ」

「婚約破棄がしたいからです!!」

「だから何故」

「他に愛する者が居るからです!!」

「ならばいい方法があるぞ」

「!?」

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