すまん、男の娘(しんゆう)に告白されたんだが

手紙を見つけた日の放課後。

俺は手紙に書かれていた、指定の場所である校舎裏へと向かっていた。

足取り重く・・・。


「代・・・君は一体どこへ行ってしまったんだい・・・」


謹慎が明け久しぶりに代に会えると思っていたのに、肝心の代が姿を現さなかった。

もしかして俺避けられてるんじゃないか・・・そんな事ばかり考えてしまう

これでは足取りも重くなる。


「いやいや待て、俺はこれから告白されるかもしれないんだぞ。こんな感じで相手の前にでたら失礼だぞ!」


そうだ、相手は俺なんかに手紙をくれた。

まだ告白されると決めつけるのは良くないが、手紙を書いてくれたのは事実だ。

だから、そんな相手にこんな気持ちで向き合うのは良くないな。

代の事はどうにかするとして、今はホモである前に一人の男として向き合おう!

そう気持ちを新たに、指定の場所へと到着する。


「・・・まだ来ていないのか?」


その場所には誰もいなかった。

少し早く着いてしまったようだ。

ボーっと突っ立っていると、ふとある事が頭をよぎる。


「まさか・・・イタズラじゃ?」


その可能性を見落としていた!!

なぜこうもホイホイ来てしまったんだ!!

いやでも待て、こっちはあんな事があって謹慎明けだぞ?そんな追い打ちかける奴がいるか?

いたとしたらとんだ鬼畜野郎だぜ・・・。

俺が頭を抱えていると・・・


「啓」


後ろから声がした。

聞きなれた声。

聞き間違えるはずがない。

何度も、何処でだって、いつだって聞いた声。

―――――代


「っ!」


俺は後ろを振り向き、声の主である代を目にする。

・・・代だった。

俺が間違えるはずが無い。

そこに居たのは間違いなく代だった。

1週間ぶりに出会った親友。

俺の前に立つ親友は・・・


「久しぶりだね・・・啓」


女子指定の制服を着ていた・・・。

・・・・・・・・・・はい?


「えっ?し・・・代?」

「うん!啓の親友の静別代だよ!」


あれちょっと待って?

俺今生きてるのかな?

もしかして本当の俺は未だに自室のベッドで寝ていて、これは俺の夢なんじゃ・・・?


「啓?」

「!」


いや夢じゃない!!

いやそれよりも・・・


「どうしたぁ代!?その恰好!!しかも薄っすらだけどメイクまでして!!」

「えへへ///似合ってる・・・かな///」

「うん似合ってる!!じゃなかったぁ~!マジでどうしたの!?俺のいない間に何が・・・ま、まさか!?」


嫌な予感が頭をよぎる。

まさかまさか!!


「誰だ!?」

「えぇ!?何が!?」

「誰にやらされているんだ!?弱みでも握られたのか!?くっっっそぉ~~~俺の大事なかわい・・・親友になんて事をぉぉ~~!!ゆるさんっ!!さぁ話せ代!!大丈夫だ!!必ず俺が助けてみせるから!!!」


謹慎明けだってのにまた俺が代の役に立つ時が来たな!!

よぉぉしそいつには地獄を見せてやろう!!

絶望と共になぁぁぁ!!!


「ち、違うよ啓!これは僕の意思でやった事なんだ!」

「よぉし代!後はまかせ・・・えっ?何?」

「手紙を書いて啓を此処に呼んだのも僕なんだ!」

「えぇ!?」


どういう事だってばよ!!

代が自分で?

ていうかこの手紙も代が?

もう訳が分からん。

初めから分らんがもっと分からない・・・。


「あのね啓、僕、啓に伝えたいことがあるんだ」

「いやあの代、悪いが先に状況の説明を・・・」

「聞いて啓!」

「ラジャー!!」


何がどうなってそうなったのか気になるが・・・ここは一先ず代の話を・・・


「僕嬉しかった。啓があの時教室で僕を庇ってくれた事。いつだって啓は僕を助けてくれて、でも僕は啓に何もしてあげられない・・・」


そんな事無い!!

代!!

お前は俺の傍に居てくれるだけでいいんだ!!

存在だけでも俺のためになってるよ!!

って言いてぇぇぇ!!!

今すぐに伝えたいこの気持ちぃぃ!!


「だから僕考えたんだ、啓に何がしてあげられるのかって。そして決めたんだ。もう自分の気持ちを押さえつけたり、隠したりしないって!」


押さえつける?

隠す?

一体何の話だ・・・?


「新聖啓君!」

「は、はい!」


代にフルネームで名前を呼ばれて、反射的に返事を返す。

いつになく真剣で真っ直ぐに俺を見つめる代に俺は釘付けだった。

そして・・・


「僕、静別代は・・・啓の事が好きです!!付き合ってください!!!」

「・・・」


・・・・・・えっ?

なんんってぇ?

つきつきつきつきつき・・・


「ええええええええええええっっっ!!!!!!??」

「///」



すまん、謹慎明けで登校したら親友♂が男の娘になってて告白されたんだが。

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