第53話-動物園内-2
ライオンを堪能していると、沙耶ちゃんがあるものを見つけた。
「お兄ちゃん! 見て見て!あそこ!」
そこには、「ライオンの赤ちゃん抱っこ券をお持ちの方はこちら!!」と書かれた案内板があった。
「姉ちゃんナイス!」
葵ちゃんが沙耶ちゃんにグッドサインを送る。
「あのご夫婦にせっかく頂いたし、行こうか」
案内板に沿って歩き出す。しばらく道なりに進むと、イベントなどを行うであろう広場に出た。そして飼育員さんであろう人がこちらに近づいて来て、
「お客様は抱っこ券をお持ちの方ですか?」
と、訪ねてきた。
「はい。えっと……これ一枚で四人抱っこできますよね?」
飼育員さんはささっと抱っこ券を確認する。
「はい!団体様有効なので大丈夫ですよ!今丁度お客さんの待ち人数が一人もいないので、すぐに案内できますよ!」
すると妹達は大喜び。
「お兄、抱っこしたい……!」
みんな目がキラキラしてる。こんな姿は初めて見るなぁ
「ではお願いします!」
ライオン抱っこ券を飼育員さんに手渡す。
すると建物の中に案内された。
建物の中に入ると、そこには可愛らしいライオンの赤ちゃんが二匹いた。
「可愛いー!!」
「ライオンさんの赤ちゃんって思ったより大きいんだね!」
「可愛いけどちょっと怖い……」
とても可愛らしい。こんなに可愛くても大人になったらあんなに迫力ある猛獣になるんだもんなぁ……
ふとこのライオンの赤ちゃんを見て気が付いた。
ライオンが大人になるように、このそばにいる妹達も大人になって、いつかは――。
そして俺たちが築いてきたこの思い出達も、きっといつかは薄れていって、消えてしまうのか――。
だとしても今はそんなことは気にしなくていいだろう。
悔いのないように、今を一生懸命に生きる。
先の事も大事かもしれない。でも、先の事ばかり見ていたら、今の時間は何のためにあるのか分からなくなってしまう。
今は、先の事はいい。俺は、この妹達と今を笑って生きるんだ。
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