第199話 火照る身体
恋人らしいことをしてくれないと、寂しい。
ソフィアとアンジュの切実な願いを聞いて、自らの気持ちを改めなくてはとロイは考えた。
大切にし過ぎた結果、無自覚にも彼女達を不安がらせてしまっていた。
それ故に、昨夜はもっと踏み込んで彼女達を愛した。
ならば、今隣で眠る彼女達にも同じ事をしなくてはいけない。
中々起きないであろうユキノよりも、先にサリナに手を出すことにした。
サリナはロイに背を向けている。寝ているかの判別はつかないが、それでも構わない。
後ろからサリナを包み込むようにして抱き締めた。触れた時に少しだけビクッと動いたから多分起きているはず。
そのまま服の中に手を入れてお腹を擦る。肘で軽めの抵抗をされるが、そんなものはなんの障害にもならない。
「……ロイ、ダメだって」
お腹を撫でていると、サリナが抗議の声を上げた。
「サリナ、嫌か? 嫌なら強く抵抗してくれ、そしたら止めるから」
「な、何を────んっ!?」
お腹に触れていた手を上に持ってくると、サリナは身体を
少しずつ上体へと上がる手は、遂に胸に触れた。
下から包み込むようにして揉むと「あっ」と可愛らしい声が返ってくる。
最後の抵抗の為に抗議の言葉を浴びせるためにロイの方へ振り返ると、唇を奪われてしまった。
「んっ、ふっ……ちゅ……んちゅっ……」
最早抵抗の意思はなく、ロイから与えられる愛にサリナは身を任せていた。何度も揉まれ、先端をきゅっと捻られると全身がスパークする。
そんな行為を何度も続けられたサリナは、ついにその時を迎えた。
「ロイ……好き……んっ……あ、ああっ!!」
サリナの性格上、あまり口にしない好意の言葉を吐いて意識がプツリと途切れた。失神という名の安らかなる眠りについたのだ。
さてと────。
ロイはユキノへと振り返る。同郷の人間が隣で盛大に果てたというのに、ユキノはすーすーと寝息を立てている。
そんなユキノに覆い被さり、頬に触れ、顎から首元、鎖骨へと順番に手で撫でていく。
窮屈そうな胸のボタンを1つずつ外していくと、大きな乳房がブルンとロイの眼前に露出した。
円を描くように胸を揉んでいると、ユキノの瞼がゆっくりと開き始めた。
「ロイさん……」
何故か驚きもしなかった。かといって寝惚けてる様子でもない、それどころか両手を広げてロイの身体を包み込んできた。
「ユキノ、どうして驚かない」
「だって、何度も触れられてきましたから……この旅神の指輪、ううん……浄化の指輪を通して暖かさが伝わってきますし」
パルコの細工で旅神の指輪へ進化した浄化の指輪、それを敢えてユキノは初期の名前で言った。
その心は……旅の始まりへと想いを馳せる、ユキノの気持ちが込められている。
「ロイさん、愛してます」
その言葉を皮切りに、ロイの愛撫は再開した。
ソフィアとアンジュで培った技術の全てをユキノの身体へ注ぎ込んだ。本番への踏ん切りはまだつかない、だからこそ……それに近いギリギリを狙っていく。
「ユキノ、好きだ」
「ふふ、私もです」
キスの合間に繰り返される似たようなやり取り。そしてキスからの触れ合い────。
そんな愛の無限ループを何度も繰り返していく。次第にユキノの身体は火照り始め、腰は浮き、四肢はロイを求めて絡み付く。
「ふぁ……んぅっ、れるっ……ちゅるっ、ちゅっ……ロイさん、私……もうっ……んちゅ……」
昂った身体は限界へと近付いていき、深夜の触れ合いも終焉へと向かい始める。
「ん、んんっ~~~~~~!!」
頭の中が真っ白になり、ユキノはサリナと同様に果ててしまった。
絡み付く肢体は力なくベッドに沈み、何もなかったかのように寝息を立てはじめる。
そんなユキノの前髪をそっとかき分け、額に触れるほどのキスをしたあと……ロイも眠りについたのだった。
☆☆☆
ハルモニアへの準備に思ったより時間がかかっている。荷物の積み込みはすでに終わったのだが、どうもテスティードの調子が悪い。
改良してからメンテも清掃も毎日欠かさず行っていたが、改良を加えていない部分にガタがきているらしく、その材料を取りに急遽として帝国へ行くことになった。
「あの、ロイ様!」
馬車に乗り込もうとするロイに声をかける婦人、それはトールの母親だった。
「どうかしたのか?」
「お願いがあります。どうか……どうかこの子を帝国の聖堂へ連れていってはくれないでしょうか?」
「んー、俺達は遊びに行く訳じゃないんだがなぁ……」
「それは存じてます! ですが、この子は未だに自らのジョブすらわからない……洗礼を受けていないのです。この子の夢のためにも、どうかお願いします……なんでも、しますから……」
年齢を直接聞いたわけではないが、この人は俺より少し上くらいだろう。そして"なんでもする"というこの人の言葉は文字通りなんでもするという意味だ。
どうしたものかと考え込んでいると、隣に立っていたユキノがロイの袖をグイグイっと引っ張って言った。
「あ、あの……ロイさん……連れ行ってあげても良いのでは?」
「ただ連れていくだけなら渋々受け入れたさ。だけどなぁ……」
ロイは母親のある言葉が引っ掛かっていた。
"この子の夢のためにも"
恐らくアンジュとソフィアの決闘を見て抱いた夢だろう。本来なら自我を持つ前にジョブを伝えて、本人にどんな道を歩むのかを諭すわけだが……。
ロイは考え抜いた末に、トールにある問い掛けをすることにした。
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