第64話 陽キャ美少女が髪を触っても良いと言ってきたが緊張する②
ツインテのまま二宮さんは、いつもの陽キャ的距離感で俺に迫ってきて、力強く両肩を掴んできた。
「白状するんだヨッシー! どう見ても小柄な姿に照れてるじゃないか~!」
「普段と違う髪型でも二宮さん可愛いなって思ったんだ。変なこと思ってゴメン」
「……それホント?」
「お、おう……。気を悪くしたなら本気で謝るよ」
「いやいやいや! むしろ気分が良くなってきたよ~! さあヨッシー! 今度はどんな髪型にしてくれるのかな~?」
俺の両肩から手を放した二宮さんはツインテを解いて、再び背中を向ける。
同級生に嫉妬するなんて、二宮さんにも普通の女子っぽいところがあるんだな、と思いながら、今度は大人しい雰囲気の出る二つ結びのお下げにしてみた。
「普段の二宮さんとはちょっと違う感じになると思って、お下げにしてみたよ」
「ちょっと待ってヨッシー。これは委員長が体育の時にしてる髪型では?」
「そうだっけ?」
「ヨッシーって……やはり委員長みたいな大人しい女子が本命なのでは!?」
「いや、委員長は良い人だし美人だとは思うけど、そういった対象ではないよ」
黒髪の委員長と違い、亜麻色の髪をお下げにすると、それはそれで陽キャっぽいというか、女子力高めの髪型に感じる。
もしかして二宮さんは何をしても可愛いのでは?
お下げの二宮さんを見ていたら、何だかまた頬が熱くなってきたが、何故か二宮さんがさらに興奮して俺に迫る。
「その反応……絶対に委員長を意識してる! 有罪! ギルティ!」
「意識はしてないから! 正直、至近距離で二宮さんの髪をいじるのって緊張するというかドキドキするから、パッと思い浮かんだ髪型にしただけというか……」
「……むむっ。ドキドキ……?」
「何というか俺的には、見たことがある髪型の方が落ち着くかな」
俺なんかにドキドキすると言われても反応に困ると思い、玉虫色の回答をした。
すると二宮さんは顎に手を当てて黙考した後、俺に尋ねてくる。
「髪型で自信があるのは、休日お出かけ仕様の片側だけをシュシュでまとめるワンサイドアップだけど……。ヨッシーは、いつも学校で見せてるナチュラルパーマ風ウェーブと、どっちが好き~?」
「両方とも好きだよ。休日お出かけ仕様のあの髪型も、特別感があって良いよね」
「えぇ~? 両方ともって、返事が適当っぽいな~」
背が低いので自然と上目遣いになる二宮さんに、俺は緊張しながらも伝えた。
「どちらの髪型も、めちゃくちゃ可愛いから自信を持ってくれ」
「……よ、ヨッシー史上最大限にストレートな発言きましたーっ!」
お下げの髪型を止めて、休日お出かけ仕様のワンサイドアップにまとめなおした二宮さんは、それこそ二宮さん史上最高に満面の笑みで俺の手を引き、教室に戻った。
無論ワンサイドアップの髪型の二宮さんを初めて見かけたクラスの男子たちは、彼女の新たな可愛さを前に色めき立ち、改めて二宮さんの人気が証明された。
それが休日お出かけ仕様の髪型だとは、友人の友木にも最後まで言えなかった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・この日の裏アカ【おしゃべり好きな宮姫@76danshi_UraakaJoshi】の呟き
思わず休日お出かけ用の髪を皆に見せちゃった!
また特別感のある髪型を探さねば!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あの髪型って二宮さん的には、奥の手扱いの切り札だったんだ」
でも俺にあのワンサイドアップを本屋で見られてからも、今まで休日用の髪型を変えようとはしなかったが……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます