第31話 相馬 美央
―――― side 相馬 美央
2人と別れ家に帰った私とにぃには其々の部屋に戻った。
ご飯の用意を手伝おうとしたけれど、お母さんにもうほとんど出来ているから部屋で待っていてって言われたからだ。
にぃには少し疲れていたみたい。家族以外と出かけたのも久しぶりだったし、私もにぃにも思っていた以上に楽しんでしまったから仕方ない。
部屋に入った私はスマホを持ってベッドに腰掛け……アプリを起動していつものグループチャットにメッセージを送る。
――――『今日はありがとうございました、とても楽しかったです』
連絡先を交換した私たちは3人でグループチャットをしている。にぃにが入っていないのは、女の子同士ならではの話もある為だ。
――――『こちらこそ凄く楽しかった、それに美央ちゃんの言ってた通りでした』
――――『楽しかったー! これも美央ちゃんのおかげだねー』
2人から返信が入る……ふふっ、喜んでくれたみたいで何よりかな。
思い切って2人を誘って本当に良かった……。
にぃにのハーレム計画、課題だった私を女の子としてみてもらうのは今朝の一件で少し前進したはず……あんなにキスをされるなんて……特ににぃにが抱き締めながらしてくれたキスはまるで恋人のようだったな……。
もっとも、その後に
部屋に戻ってから気が付いたいつの間にか脱げてしまっていた私のショーツに、にぃには気が付いていなかったみたいでこっそり回収は出来たのは運が良かったのかもしれない……。
もちろんそれだけでハーレムになんてなるはずもない。他にも課題の1つとして妹がハーレムに居ても他の子に疑問に思われないようにしなくてはいけなかった。
何も言わずに私とにぃにを受け入れてくれるような人が居ればいいけれど、どうせなら私の気持ちを理解してくれる人の方が良いよね。
候補はやっぱり渡來先輩と皆瀬先輩。2人とも会って数日なのに驚くくらいに仲良くなってしまった、出来ればこの人たちと一緒に過ごしたい……。
そう考えていた私は……昨日、買い物のお誘いを受けた後にグループチャットでにぃにの話が出たときにこう切り出していた……。
――――
――
――――『にぃにって、いつもはクールな感じなんですけど妹の私にはものすごく優しくて甘いんです』
にぃには今、人付き合いを避けている。もちろんその事は私から言ってはいけないので『クール』なんだと言う事にして、でもほんとのにぃには違うんだよ……と。
皆瀬先輩は一度にぃにに助けられているし、その優しさの一端は知っているだろう……そして学校での態度との違いも気が付いているはず。
渡來先輩もその話を聞いているって言ってたけれど、まだ実感はしていないかな。
――――『そうなんだー? そう言われれば明莉から聞いた話や実際に話した感じと、学校の印象は違うねー』
――――『そうですね……なんだか壁があるような、そんな感じです。美央ちゃんには違うんですね』
皆瀬先輩はやっぱり少し気になっているようだ……これならうまくいくかも。
――――『腕を組んでも、抱きついても優しくしてくれますよ』
――――『登校の時もそうだったねー、優しいお兄ちゃんで良いなー!』
――――『それに、添い寝もしてくれます』
――――『美央ちゃん、一緒に寝てるの!?』
――――『えー! 美央ちゃん大胆!』
――――『よく一緒に寝ますよ、
メッセージだから2人の表情なんかはわからないけれど……きっと大丈夫。それにここまできて引くなんて……あり得ないんだから。
――――『にぃには妹っぽい子には昔から優しいんですよね。私の友達にも優しかったですよ』
――――『そうなんだ? 相馬君らしいね』
――――『皆瀬先輩、もしにぃにともっと仲良くなりたいのなら妹になってみませんか?』
――――『え? どういうこと、美央ちゃん』
――――『妹になったつもりでにぃにに甘えてみませんか? きっと私の気持ちもわかってもらえると思うんです』
私の気持ち……にぃにが好き……彼が大好き……2人にはもう伝えているけれど、どうかわかって欲しい。にぃにへの恋に落ちてしまったら、例え妹だったとしてももうどうしようもないんだって……。
――――『もっとにぃにの事が好きになりますよ』
――――『面白そー! 私もお兄ちゃんが欲しいなー』
――――『孔美ったら……私に妹のふりなんてできるのかな』
――――『渡來先輩は試してみますか?』
――――『うん! 相馬君なら話していても楽しいし!』
――――『えっ!? 孔美がやるなら私も……』
――――『じゃあ作戦は……』
――
――――
そして、タイミングを見てどちらかが『兄』と呼ぶ。にぃには察しが良いのでほぼ間違いなくこの時点で『妹』相手の対応をしてくれるだろう。
その後は3人でなし崩し的に『妹』になってしまおう……という作戦だった。
結果は……大成功といっていいかも……にぃにの態度が予想通りだったから、じゃない。
明莉ねぇねに孔美ちゃん……2人があんなにも馴染むだなんて想定外だった。少しでも私の気持ちをわかってほしかっただけ……だったんだけれど、まさか2人からこれからも『
――――『私ね、本当はすごく怖かったんです』
すごく怖かった。もしかしたら2人に変に思われてしまうかも知れない、折角仲良くなれたのに離れてしまうかも知れない……私は1人になってしまうのかも知れない……今朝も出かけるのを最後まで
――――『美央ちゃんもう大丈夫よ、これからもよろしくね』
――――『そうだよー3姉妹仲良くしていこー! あっ! でも私が3女って納得いかないんだけどー!」
――――『ありがとう明莉ねぇね、孔美ちゃん』
――――『孔美、兄さんも言っていたでしょ? 諦めなさい』
ふふっ、2人が居てくれて本当に良かった……いつかきっとにぃにも2人に昔の事を話すんだろう……でも大丈夫だよ、私が……私たちが守ってあげるから。
――――『むー! あ、私たちもお兄ちゃんの妹なんだよねー?』
――――『兄さんも認めてくれたしそうなるわね』
――――『じゃあ、添い寝しても良いわけだー』
――――『え?』
――――『だって―美央ちゃんもしてるって言ってたし、
――――『もちろんですよ、じゃあ今度うちでパジャマパーティしましょうか』
――――『え?』
――――『おー! 皆でお兄ちゃんと添い寝だー!」
――――『ええ!?』
とても賑やかなパーティになりそう、にぃに覚悟しておいて? その日はオムライス……作ってあげるからね。
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