5.通貨 "ヨーク(Y)"

 異世界から突然転生した青年、ハルト。


 転生したのが夜の森の中。


 初日からビックウルフに襲われ死にかけたが、火の魔法を使え討伐に成功。


 その日はそのまま寝てしまい、翌日、街を目指して歩きに歩いて辿り着いた街道。


 そこで遂に力尽き倒れてしまった。


 そんな僕を助けてくれたのが、兄弟で商人と冒険者をしているハシュードとカイトだった。


 僕は助けてくれた恩に報いるため、仲間に加わるのだった!


-------------------------------------------------------------------------------------


 僕は彼らに、この世界の事を何も分からないと伝えた。


 異世界人であることは伝えていないけれど、この子(ハルト)の記憶がないから、これはあながち間違っていないはずだ。


 そこでハシュードさんから、この世界は無限の広さがると言っていいほど、広い世界である事、その中で沢山の国がひしめき合ている事などを聞いた。


 また、世界の通貨は共通で、"ヨーク(Y)"だという。


 話によると、大体1Y=¥1と考えておけばいいんだと思うけど、物によりけりかな。


 そこは慣れるしかなさそうだね。


 この世界には、世界中に冒険者ギルドがある様で、国は基本的には、ギルドに対しては中立を保たないといけないみたい。


 モンスターが出た時に討伐を依頼したりしているみたいだから、お互い持ちつ持たれつの関係で上手く成り立っているんだそう。



 そうそう、そういえば僕が森で倒したビックウルフなんだけど、ホントにそのままビックウルフっていう名前のモンスターだったみたい。


 きっと、最初に名付けた人も、僕と同じ感じで大きなオオカミだと思ったんだろうね(笑)


 このビックウルフは肉もさることながら、毛皮が結構高値で取引されているようなんだ!


 初っ端からラッキーだよ!!


 確かに、このビックウルフの毛は、いい寝心地だったよ!


 ギルドでは、解体を請け負ってくれるみたいだから、その点は問題ないみたい。


 でも、ギルドへの冒険者登録には、10,000Y掛かるみたいだけど・・・、


「そのビックウルフの肉だけ売らずに回収して、皆で食べよう!それでチャラだ!!」


とハシュードさんが言って、15,000Yをくれた。


 大体お肉だけでも、それぐらいの価格で流通しているという。


 という訳なので、ギルドへの登録料プラスαの確保に成功!!


 ただ、肝心のギルドはというと、街があるのはまだまだ先だという。


 大体2、3日は掛かるみたい。


 こんなの歩いてたら今頃、どうなっていた事やら・・・。


-------------------------------------------------------------------------------------


 そうこうしていると、夕食の時間になったようだ。


 確かに空が、紅く染まっているが、こうして見ると普段何にも思わなかったが、結構綺麗だなぁ。


 そんな事を思いながら空を眺めていると、


「ハルト!今日の夕食はお前の歓迎会だから期待しろよ!!」


と、カイトがせっせと夕飯の準備を進めている。


 ちなみに、カイトだけ呼び捨てなのは、意地悪とかそういうのじゃなくって、本人から、


「ハルト、ちょっといいか? できればその・・・さん付けは辞めて欲しいなぁ。 カイトって呼んでくれればいいから、なっ!もう仲間なんだから!」


と、お願いされたからだ。


 逆にハシュードさんをさん付けなのは、仲間と思っていないんじゃなくって、ハシュードさんは4歳も年上だし、本人からも、


「ハルトくん、俺の事は無理して呼び方変えなくていいよ。 俺も中々呼び捨てで人の名前を呼ぶのは、職業上慣れなくてね。 だから大丈夫だからね!」


と言われているからだ。


 だから、嫌いで言っている訳じゃないんだよ。


 2人とも命の恩人だし、優しいから大好きだし!!



 それにしても、異世界に来てかれこれ2日目、何も食べてないんだよなぁ。


 異世界初の食事、どんなかなぁ??楽しみだなぁ!!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る